ソフトバンク C&Sの幸田章さんより新しくでたVMware Workstationを使って、VMware vCloud Airへの移行について寄稿していただきました。それでは幸田さん、よろしくお願いいたします!
皆さんこんにちは!ソフトバンク C&Sの幸田です。
仮想マシンを簡単に移行できるのがVMware vCloud Airの大きな特徴ですが、このPC向け仮想化ソフトウエアVMware Workstation (以下Workstation)もvCloud Airと非常に相性のいいツールとなってきました。今回前編と後編にわけて、前編はまずWorkstationで少し遊んでみます。後編は実際にWorkstation上の仮想マシンをvCloud Airに移行する手順を紹介していきます。
VMware Workstation 12 PROを使って仮想マシンをvCloud Airに移行してみよう
(前編) VMware Workstationを使ってみよう 本編
(後編) vCloud Airへ仮想マシンを移行してみよう
PCにWorkstation 12 Pro のインストールしてみよう
ではまず、PCにWorkstation 12 Proをインストールします。Workstation 12 ProはVMwareからは評価版(30日間)が無料で公開されており、VMwareのサイトからダウンロードすることができます。後で正規ライセンスを購入した際もライセンス キーを更新するだけで正規版に変換でき、Workstation 12 Proを再インストールする必要がありませんので、試しにインストールして使ってみるのに評価版を利用するのも良いかと思います。
URL:https://www.vmware.com/jp/products/workstation/workstation-evaluation.html
今回はWindows用の評価版をダウンロードしてインストールします。
インストーラがダウンロードできたら、実行してインストールを行います。インストール先の選択などがありますが、特別設定変更する項目がなければ、ウィザードに従ってただクリックしていけば簡単にインストールできます。最後にライセンスキーの入力画面が表示されますが、後でも入力できますので「完了」でOKです。
※インストールウィザードの途中で選択する追加機能の「拡張仮想キーボード ドライバ」は、各国語対応のキーボードや特殊なキーを持つキーボードを適切に処理する為のドライバです。
これでWorkstation 12 Proのインストールは完了です。最初にWorkstation 12 Proを起動するとラインセンスキーの入力か評価版利用かを聞かれます。ライセンスキーをお持ちであれば入力し、評価版利用であればメールアドレスを入力することでWorkstation 12 Proの利用を開始することができます。
vSphere環境とも連携できてしまいます
次は、 Workstation 12 ProにオンプレミスのvSphere環境を登録します。ESXiやvCenter Serverを登録することができ、vSphere環境上の仮想マシンのコンソール操作や設定変更をWorkstation 12 Proの画面から実行することができます。
今回はvSphere 6 のvCenter Serverを登録し連携させます。
まず、Workstation 12 Proの起動した画面から「ファイル」-「サーバに接続」の順にクリックします。設定画面が表示されますので「サーバ名(vCenter ServerのFQDNもしくはIPアドレス)」「ユーザ名(管理者権限のあるユーザ)」「パスワード」をそれぞれ入力し「接続」をクリックします。正常に接続できればWorkstation 12 ProのライブラリにvSphere環境上の仮想マシンが表示されます。
※セキュリティ証明書の警告が表示された場合は「接続する」を選択します。
これでvSphere環境の登録は完了です。これでvSphere Web Clientで仮想マシンの操作をするように、Workstation 12 Proの画面からvSphere環境上の仮想マシンへのコンソール接続や電源操作、設定変更を実施することができます。下記の画面キャプチャは一例です。
(左側)電源操作:仮想マシンを右クリックし「パワー」を選択
(右側)仮想マシンの設定変更:仮想マシンをシャットダウンし、「仮想マシンの設定を編集する」を選択
vSphere環境の仮想マシンをWorkstationへもってこれます (V2V)
それではいよいよvSphere上の仮想マシンをWorkstation 12 Proへ移行(コピー)します。まず対象の仮想マシンをパワーオフします。今回はWindows Server 2008R2の仮想マシンを移行します。対象の仮想マシンを右クリックし「管理」-「ダウンロード」の順にクリックします。
ポップアップ画面で移行後の仮想マシン名を入力し、新しい仮想マシンを保存する場所を選択します。今回の仮想マシンの保存場所はデフォルトで選択されているパスのまま進みます。入力後「ダウンロード」をクリックすると仮想マシンの移行が開始されます。
暫く待つと仮想マシンの移行が完了し、ライブラリのマイコンピュータに移行した仮想マシンが表示されます。これで仮想マシンの移行(V2V)は完了です。電源ボタンをクリックしパワーオンすれば、Workstation 12 Pro上で移行した仮想マシン実行することができます。下部キャプチャ画面の右側が移行した仮想マシンをパワーオンしコンソール接続している画面です。
Workstation 12 Pro上で仮想マシンのネットワーク設定をしてみよう
これまでの手順で仮想マシンの移行を行いましたが、ネットワークについての設定は何も行っていません。Workstation 12 Pro上の仮想マシンを既存の物理ネットワークに参加させたり、インターネットにアクセスさせたりする為には設定変更が必要な場合がほとんどです。ネットワーク接続のタイプには一般的な構成として「NAT」「ブリッジ」「ホストオンリー(PC内部で完結するネットワーク)」の3種類があります。
今回は移行した仮想マシンを「NAT」で接続設定し、インターネットに接続します。
まず、「編集」-「仮想ネットワークエディタ」をクリックし、ポップアップされた仮想ネットワークエディタ画面から「設定の変更」をクリックします。ユーザアカウント制御が表示された場合は「続行」を選択します。
次に、NATの設定を行います。今回は前述したNAT構成イメージ図のネットワークアドレス構成で設定します。仮想ネットワークエディタ画面上部のタイプNATのインターフェースを選択します。VMnet情報が「NAT」に選択されている事を確認し、下部の「サブネット」と「サブネットマスク」を設定したい値で入力します。今回は「172.16.100.0 」「255.255.255.0」で設定します。次に「NAT設定」をクリックします。表示された画面でゲートウェイのアドレスを設定します。これはWorkstation 12 Pro上で動作している仮想マシンのデフォルトゲートアドレスになり、Workstation 12 Proが動作しているPCの仮想インターフェースに割り当てるIPアドレスです。今回は172.16.100.1で「OK」をクリックします。
今回仮想マシンはDHCPでIPアドレスを割り当てますので、「ローカルDHCPサービスを試用してIPアドレスをVMに配布する」にチェックを入れ「DHCP設定」をクリックします。DHCPで配布するアドレス範囲を「開始IPアドレス」と「終了IPアドレス」に入力し(今回は172.16.100.100~200)「OK」をクリックします。これで仮想ネットワーク設定(NAT構成)は完了ですので「OK」をクリックします。
次に仮想マシンの仮想NICをNAT構成の仮想ネットワークに接続します。対象の仮想マシン名を右クリックし、「設定」をクリックします。仮想マシンの設定画面が表示されますので「ネットワークアダプタ」を選択しネットワーク接続を「NAT」に変更します。変更後「OK」をクリックし完了です。
これでNAT接続構成の設定は完了です。仮想マシンにコンソール接続してインターネットにアクセスできるか確認してください。接続できない場合は仮想マシンが認識しているネットワーク設定やWorkstation 12 Proが動作している物理PCの仮想インターフェースを確認してみて下さい。仮想ネットワークエディタで設定したIPアドレスと、仮想マシンや物理PCが認識しているIPアドレスが異なっている場合は設定変更する必要があります。
これでvSphere上の仮想マシンをWorkstation 12ProへV2V し、インターネットにアクセスさせることができました。GUI操作で簡単に仮想マシンを移行できることをご確認頂けたかと思います。また、逆にWorkstation 12Pro上の仮想マシンをvSphere上で移行することも同じような手順で実行でき、仮想マシンを行ったり来たりさせることがWorkstation 12Proなら簡単にできます。
前編は以上です。次回はvCloud Air VPC OnDemand上へ移行する『V2C(Virtual to Cloud)』の手順をご紹介させて頂きます。
VMware Workstation 12 PROを使って仮想マシンをvCloud Airに移行してみよう
(前編) VMware Workstationを使ってみよう 本編
(後編) vCloud Airへ仮想マシンを移行してみよう
ソフトバンク C&S 幸田 章/市島 拓弥