テクニカルサポートエンジニアのMarieです。
みなさん、VMwareのサポートにどのような印象をお持ちでしょうか。
職人のようなサポートエンジニアがログを見てさくさくっと回答していると思われるかもしれませんが、
技術的な調査に取りかかる以前に 「何が出来なくてどうお困りなのか」 をお伺いするのに苦労していたりもします。
私が日々お仕事をしていて感じるのは「事象や構成が整理されているお問い合わせは、解決までのスピードが早い!」ということです。
長引いているケースが技術的に難しくて複雑であるとは限らなくて、事象や構成がはっきりしないために技術的な調査が進められないということもあるのです。
この連載では、スムーズな問題解決のためのヒントになるようなお話しをしていきたいと思います。
技術的な話が少なくて拍子抜けかもしれませんが、「サポートエンジニアも結構地道な作業をしているのね!」と感じていただけるかと思います。
徐々にステップアップしていきましょう!
第1回 トラブル発生時に役立つ 4 つのリソース ←This Post
第2回 サポートリクエスト(SR)と情報採取
第3回 実践編
今回はトラブル発生時に役立つリソースとその使い方をご紹介いたします。
- ナレッジベース(http://kb.vmware.com/)
障害の発生事例や対処法、トラブルシューティング方法、ベストプラクティス等を検索することができます。 - 各種ドキュメント(http://www.vmware.com/jp/support/support-resources/pubs/)
製品マニュアルやリリースノートなど、各種ドキュメントが公開されています。 - コンパチビリティガイド(http://www.vmware.com/resources/compatibility/search.php)
VMware製品とハードウェアやOSの互換性をチェックすることができます。 - VMware製品間の相互運用性マトリックス(http://partnerweb.vmware.com/comp_guide2/sim/interop_matrix.php)
VMware製品間の互換性をチェックすることができます。
これから紹介するページは、弊社のサイト(http://www.vmware.com)トップ画面の [サポート] からアクセスできます。
設計・構築時にご利用いただいているものもあるかと思いますが、今回はトラブル発生時にどのようなポイントを確認したらいいかという観点でご説明したいと思います。
はじめての方も、まずは手を動かしながら色々調べてみましょう!
1. ナレッジベースKnowledge Base(http://kb.vmware.com/)
まずはここ、1つ目はナレッジベース(Knowledge Base)です。
障害の事例や対処法、トラブルシューティング方法、ベストプラクティス等を検索することができます。
エラーメッセージやコンポーネント名、ハードウェア名などで検索してみて下さい。
最近は日本語に翻訳された記事も増えてきているのですが、英語で書かれた記事をベストエフォートで翻訳していますので、最新情報ではない可能性もあります。
例えば、日本語版では回避策なしと案内されている場合も、オリジナルの英語版では回避策や修正についての情報がアップデートされているかもしれません。
日本語版の記事にはオリジナルの英語版へのリンクがありますので、必ずこちらも合わせて確認するようにして下さいね。
2. 各種ドキュメント(http://www.vmware.com/jp/support/support-resources/pubs/)
そして2つ目、製品ドキュメントやリリースノートをはじめ各種ドキュメントが公開されています。
まずは html 版の vSphere 5.5 の製品マニュアルである「VMware vSphere 5.5 ドキュメント センター(http://pubs.vmware.com/vsphere-55/topic/com.vmware.ICbase/Welcome/welcome.html)」を見てみます。
上記のページ「VMware vSphereのドキュメント(http://www.vmware.com/jp/support/support-resources/pubs/vsphere-esxi-vcenter-server-pubs/)」各ガイド欄にリンクされています。
確認してもらいたいポイントに沿ってご紹介します。
・構成(システム要件、インストール方法など)
要件を満たしていないシステムでは予期せぬトラブルが発生することがあります。
ご利用いただいている環境がシステム要件を満たしているか、インストールや設定方法に問題が無かったか確認してみましょう。
お客様のシステムはお客様が一番よく知っているはずなので、ここは頑張っていただきたいポイントです!
システム要件を見てみます。
vSphere のインストールとセットアップから展開できます。
例えば、vCenter Server, Web Client, Inventory Service, Single Sign-On すべて同じマシンの構成だと 12GB 以上のメモリが必要ですが、この条件を満たしていないマシンをたまに見かけますね。
基本的なことではありますが、念のためひとつひとつ確認してみて下さい。
・トラブルシューティングガイド
トラブルシューティングガイドでは、よくあるトラブルについて、問題・原因・解決方法が説明されています。
このガイドに記載の無い問題であったとしても、類似の問題から何かヒントを得られるかもしれませんので目を通してみて下さい。
次に確認していただきたいのがリリースノートです。
リリースノートには新機能の紹介だけでなく、既知の問題とその回避策も公開されています。
「VMware vSphereのドキュメント(http://www.vmware.com/jp/support/support-resources/pubs/vsphere-esxi-vcenter-server-pubs/)」ページに戻り、vCenter Server 5.5.x の一番新しいバージョン(5.5 Update 2d)のリリースノートを見てみます。
既知の問題の欄をご参照下さい。
ここで紹介されている問題にあてはまりそうな場合、回避策を試してみて下さい。
トラブル時の確認という観点でいうと製品ドキュメントとリリースノートあたりですが、他にも色々なドキュメントが公開されています。
製品への理解を深めるのにお役立てください。
3. コンパチビリティガイドVMware Compatibility Guide (http://www.vmware.com/resources/compatibility/search.php)
3つ目、少しレベルアップして構成にあわせた確認をしていきましょう。
ストレージやネットワークなど問題が絞りこめている場合は、改めてハードウェアのコンパチビリティを確認してみて下さい。
項目によっては互換性の有無だけではなく、推奨設定なども確認できます。
試しに私が使っているマシンのHBAのコンパチビリティを確認してみましょう。
vmhba0として認識されているIntel Corporation Avoton AHCI Contorollerにポイントします。
esxcfg-infoコマンドで詳細を確認してみます。
ESXi のバージョンも確認しましょう。
Buildは1892794 なので、ESXi 5.5U1 とのコンパチビリティを確認することになります。
Web Clientからもハードウェアの情報を確認できます。
インベントリツリーで [ホストおよびクラスタ] – [該当のホスト] – [管理タブ] でネットワークやストレージアダプタを確認できます。
詳細な情報を確認したい場合は、[管理タブ] の右隣 [監視タブ] の [ハードウェアステータス] から該当のアダプタを選択して下さい。
ESXiのバージョン、Buildは [サマリタブ] の [構成] から確認できます。
では、確認した情報を元に検索してみます。
調べる対象はSATA controller なので [What are you looking for] は [IO Device] 、[I/O Device Type] は [SATA] に設定しました。
[Brand Name] や [VID] や [DID] も esxcfg-info や ハードウェアステータスタブ の内容を参考に選択し、 [Update and View Results] で検索を実行します。
出ましたっ!
ESXi 5.5U1とIntel Corporation Avoton AHCI Contorollerには互換性があることが確認できました。
ドライバのバージョンも問題ありませんね。
最新のドライバがあればアップデートしておくとベストです。
手順やよくある質問についてはこちらをご覧下さい。
* VMware KB: Identifying correct driver for ESXi/ESX host PCI devices (HBA) using VMware Hardware Compatibility Guide (HCL) (1031534)
http://kb.vmware.com/kb/1031534
* VMware KB: Identifying and downloading the appropriate driver for your adapter: Process and FAQ (2050194)
http://kb.vmware.com/kb/2050194
4. VMware製品間の相互運用性マトリックスVMware Product Interoperability Matrixes(http://partnerweb.vmware.com/comp_guide2/sim/interop_matrix.php)
見落としがちな4つ目、VMware製品間の相互運用性マトリックス(VMware Product Interoperability Matrixes)では製品同士の互換性を確認することができます。
バージョンアップや旧環境からの移行の後に問題が発生したなんていう時は、念のため確認してみて下さい。
では私の使っているマシンにインストールされている ESXi とそれを管理している vCenter Server の互換性を確認してみます。
ESXi はBuild 1892794 なのでESXi 5.5U1、vCenter Server はBuild 2183111 なので 5.5U2 に該当します。
[Select a Solution] で [ESX/ESXi] を選択し、[Version] を指定するとESXi5.5.U1の列が追加されました。
今回確認したいのは vCenter Server との互換性です。
[Add Plat form/Solution] には [vCenter Server] を選択し [Add] すると [vCenter Server] の行が追加されました。
チェックが付いているのが互換性ありのしるしです。
ESXi 5.5U1 と vCenter Server 5.5U2 は互換性に問題が無い組み合わせであることが確認できました。
手順は以下のKBが参考になります。
* VMware KB: Using the VMware HCL and Product Interoperability Matrixes (2006028)
http://kb.vmware.com/kb/2006028
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ここまで調べてみて、いかがでしたでしょうか。
問題は解決しましたか?
どれにもあてはまらない…
案内されている方法を試してみたけど直らない…
という場合はサポートリクエスト(SR)を発行してみましょう。
「それなら最初から問い合わせすればよかった!」と思っているかもしれないみなさまに、
「ここまで手を動かした努力は決して無駄ではない!」ということをお伝えしたいです。
最初にお話したように、スムーズな問題の解決のためには、問題に対するお客様のご理解がとても大切です。
コンパチビリティを確認してみて、普段ご利用いただいている環境のことがより理解できたのではないでしょうか。
また、ナレッジベースやドキュメントを検索しているうちに、発生している事象が整理されてきたのではないかと思います。
次回はサポートリクエスト(SR)の発行と情報採取についてお話したいと思います。
連載 vSphere 問題解決までのヒント!
第1回 トラブル発生時に役立つ 4 つのリソース
第2回 サポートリクエスト(SR)と情報採取
第3回 実践編