皆さま、こんにちは。TAM の米本です。
平素より弊社製品をご利用いただきありがとうございます。
今回は VMware Cloud Foundation® Automation (以降 VCF Automation) が VMware Cloud Foundation® (以降 VCF) の指向するプライベートクラウドの世界観をどのように支えているのかをご紹介します。
VCF Automation はその名称から単なる「自動化ツール」と思われがちですが、それは本製品の一面に過ぎません。
本記事では VCF における VCF Automation の位置付けとその特徴についてご紹介させていただきます。
◾️目次
- VCF における VCF Automation の位置付け
- VCF Automation の指向する「自動化」
- VCF Automation の「セルフサービス」モデル
- VCF Automation が実現する「ガバナンス」
- VCF Automation の構造と利用イメージ
- おわりに
1. VCF における VCF Automation の位置付け
本項では、まず VCF がどのようなものであるかについて簡単にご説明させていただきます。
VCF は、これまでご利用いただいてきた VMware vSphere® (以降 vSphere) による仮想基盤のコンセプトをさらに発展させ、企業内に本物の「クラウド体験」を構築するための統合プラットフォームとして設計されています。
具体的には、以下のような特徴を持っています。
- 従来パブリッククラウドが提供してきたセルフサービス、俊敏性、柔軟性などのメリットをオンプレミス環境においても提供することができる
- データ主権やガバナンスの制御が求められるケースでもオンプレミス環境として安心して運用することができる
- AIやモダンアプリケーションに対応し、単なるサーバ+ストレージ+ネットワークの仮想基盤を超えた統合インフラ基盤として設計されている
しかし VMware の各種コンポーネントを統合しただけでそのような「パブリッククラウドのような環境」を実現できるのか、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ここで重要な役割を果たす製品が、今回の主役である VCF Automation となります。
VCF Automation は、
- セルフサービス型のユーザーインターフェースを持ち、利用者がオンデマンドでリソースを利用できるようになる
- ポリシーによる制御で、安全性やコンプライアンスを担保しつつも自律的な基盤運用を実現できる
- 仮想マシンだけでなく Kubernetes サービスも含めたリソースを標準化されたインフラとして提供できる
このように、従来の仮想基盤に「クラウド体験」をもたらし、VCFが目指す「プライベートクラウドの世界観」を実現する中核コンポーネントとなっています。
以降の章では、このような VCF Automation の特徴についてご説明させていただきます。
2. VCF Automation の指向する「自動化」
一般的にインフラリソースを利用(利用申請から環境戻しまで)する際には下図のような流れがあり、それぞれのフェーズには部門間の調整やコスト・作業項目に起因する多くのハードルが存在しています。

VCF Automation では、上記のような「申請・承認・構築・利用・戻し」というインフラ利用に関するワークフロー全体を自動化することができます。
従来の自動化ツールが担っていた「構築の自動化」にとどまらず、システム利用プロセス全体のセルフサービス化を推し進めることが可能です。

3. VCF Automation の「セルフサービス」モデル
システム利用プロセス全体のセルフサービス化を推し進めるため、VCF Automation では様々な形態のリソース・アプリケーション・ワークロードを統一的に提供することができます。
これらは、以下のように利用者のスキルレベルや用途に合わせた最適な手法で、セルフサービスによるプロビジョニングや利用が可能です。
- 一般ユーザー向け:カタログ画面からの直感的な利用
- 事前に管理者が用意した標準テンプレートをベースに、UIのカタログ画面から数クリックで容易にリソースを払い出すことができます
- パワーユーザー(開発者など)向け:CLI / API を利用したオンデマンド利用
- インフラのコード化(IaC)や外部ツールとの連携など、API経由で柔軟かつ迅速にリソースを組み込むことができます
このように利用者の知識量を問わず、それぞれのスタイルで「使いたい時にすぐ使える」環境を提供できるのが、VCF Automation のセルフサービスモデルの特徴です。
4. VCF Automation が実現する「ガバナンス」
前章では、VCF Automation によるセルフサービス化のメリットについてお話ししました。
しかし、セルフサービス化は進むにつれて「標準構成からの逸脱」や「責任分界の曖昧化」が起こり、その結果として「構成管理が困難になる」「リソースが不足する」「想定外構成が乱立する」といった問題が度々発生します。
これはガバナンスを「運用のルール(人の手)」だけで取り回すような設計は規模が大きくなると破綻しやすいという原則があるためです。
VCF Automation はこれらの課題に対して「自由に使わせるクラウド」と「ガバナンス」を両立させるための基幹コンポーネントとして機能します。
具体的には、下図に示す3点を柱として、何を・どこまで・どう使えるかを基盤側でシステム的に定義します。
これによりガバナンスを「人の判断」ではなく「仕組み」として組み込むことで、プライベートクラウドを安全にスケールさせることが可能です。

5. VCF Automation の構造と利用イメージ
ここまでは VCF Automation の概要について触れてきましたが、実際にVCF Automation を環境にデプロイした際に、管理者やエンドユーザーにはどのような世界が見えるのでしょうか。
最後のこの章では、具体的な構造とその利用イメージを簡単に紐解いていきましょう。
VCF Automation におけるそのアーキテクチャの最大のポイントは、「誰が」「どのレイヤーを」管理・利用するかという責任分界点が明確に設計されている点にあります。
この管理モデルを構築することで、インフラのガバナンスと利用者のアジリティ(セルフサービス化)を両立するモダンなプライベートクラウドとしてのエクスペリエンスが実現されます。

上図のようにVCF Automation では関わるユーザーは大きく3つの層に分かれ、それぞれが最適化されたビューと権限で日々の運用を行います。
- ITインフラ管理者 / サービスプロバイダ管理者(基盤レイヤー)
- このロールは、物理的なインフラの安定稼働に責任を持ち、vCenter や ESXi クラスタ、可用性ゾーンとなる「 vSphere Zone 」、そして Kubernetes の基盤となる「 Supervisor 」の維持管理に専念します
- テナント内の細かなアプリケーション構成を気にする必要はなく、インフラのキャパシティと健全性の維持という本来の業務に集中できます
- 組織管理者(テナント管理レイヤー)
- このロールは、ITインフラ管理者が用意したリソースのプールを消費し、事業部・顧客企業(テナント)ごとの「プロジェクト」「名前空間」といった論理的な枠組みを作成します
- テナント内の「プロジェクト」「名前空間」のガバナンス管理に集中することができます
- アプリケーション管理者 / エンドユーザー(利用者レイヤー)
- 実際にシステムを開発・運用するユーザー層で下位レイヤーの複雑なインフラ構造(vCenter やクラスタの設定など)には関知しません
- 割り当てられた「プロジェクト」「名前空間」の中で、パブリッククラウドを利用するのと同じような感覚で、開発者およびアプリケーション所有者によるリソースのセルフサービス利用を行います
このようにVCF Automation を用いることで、仮想インフラストラクチャは単なる「インフラ基盤」から、「各ユーザーが本来の業務に没頭できる高度なサービスプラットフォーム」へと進化します。
IT部門はガバナンスを効かせた安定した基盤を提供し、開発部門は欲しい時に欲しいリソースを即座に手に入れることができる。こういったモダンなプライベートクラウドとしてのエクスペリエンスこそが VCF Automation がもたらす大きな価値と言えるのではないでしょうか。
6. おわりに
今回は、VCF における VCF Automation の位置付けとその特徴についてご紹介しました。
VCF Automation は、 VCF が指向する「プライベートクラウドの世界観」を企業内に実現するための強力なツールです。
ぜひ導入をご検討いただき、VCF ならではのメリットをご活用ください。
私たちTAMサービスでは、現状の運用項目の棚卸しからVCF Automation 導入・プロセスの構築まで、お客様運用環境に合わせた様々なご支援を行っております。
本記事を含めてご興味・ご相談事項等ございましたら、是非担当 TAM までご連絡ください。