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[TAM Blog] Live Site Recovery のリカバリプランのテスト機能のご紹介

皆さまこんにちは。TAM の小林です。
平素より弊社製品をご利用いただきありがとうございます。

今回は VMware® Live Site Recovery のリカバリプランのテスト機能をご紹介いたします。
年次で DR 切替テストの実施を定めているお客様は多いかと思いますが、こんなお悩みありませんか?

  • ネットワークも含めた本番相当の全量切替えは影響が大きいし、関係者も多いので、ハードルが高い
  • 特定のシステムのみを対象に切替テストを実施したい
  • Live Site Recovery のアップデートを行った後、新バージョンでリカバリプランの動作を確認したい

当機能を活用することで本番稼働中のシステムに影響を与えることなく、ある程度範囲を絞ってテストを行うことができます!

ドキュメントではリカバリプランを「復旧プラン」と表現している場合もありますが、本記事では「リカバリプラン」で統一します。

 

■目次

  1. Live Site Recovery の概要
  2. リカバリプランとは
  3. リカバリプランのテストの概要
  4. リカバリプランのテストを実施してみよう
  5. 参考情報
  6. 最後に

 

1. Live Site Recovery の概要

Live Site Recovery は、vSphere 環境の仮想マシン リカバリの計画、テスト、実行を支援するディザスタ リカバリ ソリューションです。
以前は Site Recovery Manager という製品名でしたが、バージョン 9.0 から Live Site Recovery にリブランディングされています。
vCenter Server インスタンス間のインベントリの移行を自動化することが出来ますが、Live Site Recovery にはレプリケーション機能は提供されていないことに注意が必要です。
仮想マシンのレプリケーションには、アレイ ベースのレプリケーション、vSphere Replication 、Virtual Volumes レプリケーションを使用することが可能です。

ライセンス

Live Site Recovery は下記サブスクリプションのアドオンサービスとしてご購入いただくことで、ご利用可能です。

  • VMware vSphere® Foundation
  • VMware Cloud Foundation®

 

バージョン

当ブログ執筆時点の最新バージョンは 9.0.3 となっています。
関連製品との互換性は、 BROADCOM Product Interoperability MatrixBROADCOM COMPATIBILITY GUIDE にて最新の情報をご確認ください。

 

2. リカバリプランとは

リカバリプランについてはドキュメントの記載が非常に分かりやすいため、ここではドキュメントを引用する形でご説明します。

復旧プランは、自動化されたランブックに似ています。このリカバリ プランは、VMware Live Site Recovery が仮想マシンをパワーオンまたはパワーオフする順序や、リカバリした仮想マシンが使用するネットワーク アドレスなど、リカバリ プロセスのすべての手順を制御します。復旧プランは柔軟性があり、カスタマイズできます。

復旧プランには 1 つ以上の保護グループが含まれます。1 つの保護グループを複数の復旧プランに含めることができます。たとえば、組織全体で保護サイトからリカバリ サイトへのサービスの計画移行を処理するために 1 つのリカバリ プランを作成し、個々の部門ごとに別のプランのセットを作成することができます。この例では、これらさまざまなリカバリ プランで 1 つの保護グループを参照しており、ユーザーはリカバリの実行方法を決定できます。
特定の保護グループを復旧する際、復旧プランは 1 度に 1 つだけ実行できます。別のリカバリ プランで共有されている保護グループを使用してリカバリ プランをテストまたは実行する場合、別のリカバリ プランが保護グループの状態を 保護グループを使用中 に変更するため実行できません。

 

3. リカバリプランのテストの概要

リカバリプランのテストを実行すると、リカバリ サイトのテスト ネットワークとレプリケートされたデータの一時的なスナップショットにより、リカバリサイトで対象の仮想マシンが実行されます。
本番環境 ( Live Site Recovery では「保護サイト」と言います) の仮想マシンの稼働が中断することはありません。
ここで肝となるのが、「テスト ネットワークにより仮想マシンが実行される」という部分です。
リカバリプランをテストするとき、対象の仮想マシンへの接続に使用するテスト ネットワークを作成できます。
テスト ネットワークは固有の仮想スイッチによって管理され複数のホストに拡張できないため、分離性が高いことになります。
相互に通信する必要がある仮想マシンは、同じテスト ネットワークに接続する必要があることに注意してください。

 

4. リカバリプランのテストを実施してみよう

それでは、実際にリカバリプランのテストをしてみましょう。
操作対象の仮想マシンは「Jinji-DB」と「Jinji-Web」の2台とします。

 

リカバリプランの作成

リカバリプランの作成ウィザードにて、リカバリサイトで仮想マシンが接続するネットワークとしてテスト ネットワークを指定します。

 

リカバリプランのテスト実行

リカバリプランを選択して、[テスト] をクリックすると、リカバリプランのテスト実行が開始されます。

 
リカバリプランのテスト実行が正常終了したことが確認できます。

 

仮想マシンの電源状態確認

保護サイトの仮想マシンの電源がパワーオン状態のままであることが分かります。

本番稼働中の仮想マシンの電源状態に影響は出ていませんね。

リカバリサイトの仮想マシンの電源もパワーオン状態であることが分かります。

 

仮想マシンのネットワーク設定確認

保護サイトの仮想マシンは業務用ネットワークである「VM Network」に接続中のままであることが分かります。

本番稼働中の仮想マシンのネットワーク設定に影響は出ていませんね。

 
リカバリサイトの仮想マシンはテスト用ネットワークである「Test Network」に接続されていることが分かります。

 

リカバリサイトでの仮想マシン間疎通確認

「Jinji-DB」から同じホストに配置されている「Jinji-Web」 (192.168.100.36) に対しては ping 応答があることが分かります。

「Jinji-DB」から異なるホストに配置されている仮想マシン (192.168.100.62) に対しては ping 応答がないことが分かります。

 

クリーンアップの実行

最後は必ずクリーンアップを実行します。

クリーンアップを実行することにより、リカバリプランのテスト実行前の状態に戻すことができます。

リカバリプランを選択して、[クリーンアップ] をクリックすると、クリーンアップ処理が開始されます。

 
クリーンアップ処理が正常終了するとリカバリサイトの仮想マシンはパワーオフされますのでそれを確認して、リカバリプランのテストが完了です。

 

5. 参考情報

VMware Site Recovery

復旧プランのテスト

 

6. 最後に

今回は Live Site Recovery のリカバリプランのテスト機能をご紹介いたしました。
本番稼働中のシステムに影響を与えることなく DR 切替テストが実施できるというのは、運用を担当されている皆様にとって非常に有益な機能かと思います。
ぜひ当機能を活用してみてください。

Live Site Recovery に関する支援については、担当 TAM にご相談ください。