Tanzu Tanzu Application Platform アプリケーションのモダナイゼーション

チームのコラボレーションとアプリケーションのベロシティを向上するTanzu Appliation Engineの発表

この記事は、”Designing VMware Tanzu Application Engine to Increase Team Collaboration, Application Velocity“に対する抄訳と加筆を加えたものです。


企業は今、セキュリティや性能、コストの面でコンプライアンスを実現することを求められる一方で、アプリケーションのデリバリーを高速にするという課題に直面しています。膨大なクラウドエコシステムは多くのツールやオプションを提供していますが、適切な管理がなければこの複雑さが運用を不安定にする可能性があります。

ビジネス上重要なアプリケーションを構築する場合においてアプリケーションチームは、データプライバシー法、高可用性、ディザスタリカバリー、セキュリティ管理、トラフィック急増に対する自動スケーリング、クラウドのコスト管理、独自の機能的・技術的ニーズなど、多くの要件を満たす必要があります。歴史的に、チケットベースの運用でこれらを解決することは、チーム間の不十分なコラボレーション、ミスコミュニケーション、軋轢を引き起こし、最適でない結果や組織的リスクにつながっていたのではないでしょうか。組織のガバナンスとコンプライアンス要件を満たしながら、効率的にアプリケーションを本番稼動させるには、より優れたアプローチが必要なのです。

VMware Tanzu Application Engineの発表

VMware Explore Las Vegasにおいて、VMware Tanzu Application Platform の新機能である VMware Tanzu Application Engine のプライベートベータを発表しました。

Tanzu Application Engine は、アプリケーション指向の抽象化レイヤを導入し、クラウド内およびクラウド間で一貫した運用ガバナンスとコンプライアンスでアプリケーションを実行できるようにデザインされています。この抽象化モデルにより、利害関係者間の関心事が明確に分離されます。

  • 開発者はインフラの詳細を気にすることなくアプリケーションに集中できます
  • プラットフォームエンジニアはスケールの大きなインフラの管理と運用に集中できます
  • オペレータは組織のガバナンスとコンプライアンス要件を満たす設定を定義できるようになります

Tanzu Application Engine は、アプリケーションチーム、プラットフォームチーム、運用チームにわたる、モダンアプリケーションの本番稼動に関わる多くの利害関係者が抱える重要な課題を解決することを目的としています。

  • アプリケーション開発者は、VMware Tanzu Application Spaces と呼ばれる、承認されたアプリケーション環境へのセルフサービス アクセスが可能になり、インフラの詳細に関連する認知負荷が軽減され、本番環境への移行速度が向上します。また、Tanzu Application Engineは、基礎となるKubernetesクラスタや関連インフラ、リソースをプラットフォームエンジニアがアップグレード、保守している間でも、アプリケーション開発者がアプリケーションを管理し拡張できるようにすることを目的としており、両チームにアプリケーションの運用と最適化の余地を与えます。
  • プラットフォームエンジニアは、標準化とエンドツーエンドの自動化の恩恵を受けることができ、アプリケーション環境と基礎となるインフラのキュレーションと管理を大規模に行うことができます。Tanzu Application Engine は、プラットフォームエンジニアが Tanzu Application Space プロファイルのライブラリを再利用、更新、管理できるように設計されており、現在および将来のセキュリティ、性能、コストのニーズに対応したアプリケーション環境を提供します。その他の目標としては、プラットフォームエンジニアが Tanzu Application Space をバックアップ、リストアし、クラスタを無停止でアップグレードするために Space の再スケジューリングを実行する機能があります。
  • 特定のオペレータ(ネットワークセキュリティやサービスオペレータなど)は、開発-テスト-ステージング-本番環境や複数のクラウドで実行されるアプリケーションのガバナンスとコンプライアンスを実現するために必要な設定を定義できます。自動化に裏打ちされたセルフサービス API によって組織は、開発者にすべての負担を負わせることなくセキュリティをシフトレフトすることができます。たとえば、セキュリティ担当者は、PCI DSS 標準に準拠するためのデータ保護に関する設定やポリシーを定義することができます。一方、サービスオペレータは、アプリケーション開発者やアプリケーションオペレータがデータベースやメッセージングキュー、キャッシュなどのサービスインスタンスへの要求やバインドを容易にするサービスクラスを管理し開発者の生産性を向上させることができます。

Tanzu Application Engine では、以下の基本理念と技術イノベーションのユニークな融合により、これを実現することを目指しています:

  • 開発者体験への徹底的なフォーカス : Tanzu Application Engine は、Tanzu Application Platform の中核機能となることを目的としており、エンドツーエンドの開発者体験の簡素化という VMware の重点的な取り組みを強化し、開発者がコードの記述とアプリケーションの作成に完全に集中できるようにします。
  • シンプルさ、柔軟性、オプション性のバランス :Tanzu Application Engine は、シンプルさ、柔軟性、オプション性のバランスをとっています。開発者は、すぐに利用可能なTanzu Application Spaceプロファイルやオペレータ用のカスタムTanzu Application Spaceプロファイルにより、アプリケーションを迅速に本番環境に導入することができます。
  • アプリケーションに重点を置いた抽象化とサービス:Tanzu Application Engineは、アプリケーションとインフラの間に位置するアプリケーションに重点を置いたユニークな抽象化とサービスを提供することで、アプリケーション開発者とさまざまなオペレータの関心事を分離し、クラスタやクラウド間で一貫した機能とポリシーでアプリケーションを実行できるようにすることを目指しています。
  • 摩擦を最小化するコラボレーションモデル : Tanzu Application Engine は、プラットフォームエンジニア、ネットワークセキュリティ、サービスオペレータなどの異なる利害関係者グループが並行して作業し、独立して Tanzu Application Space に構成を提供することを可能にする摩擦最小化コラボレーションモデルの導入を目指しています。
  • すぐに使える機能とトレート:Tanzu Application Platform は、オープンソースと VMware 提供の両方の Tanzu Application Space で実行されるアプリケーションで使用できる機能、アプリケーション、サービスの豊富なカタログを提供することを目指しています。これにより、プラットフォームエンジニアは、膨大な選択肢のエコシステムから選択し、セキュリティ、性能、コスト標準をより簡単にアプリケーションスペースに組み込むことができます。

私たちは、開発者、プラットフォーム、運用チームが感じる負担を軽減するために、Tanzu Application Engine を設計しています。アプリ指向の抽象化と摩擦を最小化するコラボレーションを通じて、開発者のスピードとガバナンスやコンプライアンスのバランスを取ることを目指しています。

この革新的なアプローチは、パブリッククラウドにおけるクラウドネイティブプラットフォームの未来を象徴するものであり、大規模運用における技術的・社会的課題を解決することを目指しています。