こんにちは。VMware グローバルサポート Newsletter Skyline チームの大嶋です。
2022/09/22 に SHD (VMware Skyline Health Diagnostics) の最新バージョンとなる 3.5.0 がリリースされました。今回は SHD 3.5.0 にて追加された新しい機能についてご案内したいと思います。
SHD (VMware Skyline Health Diagnostics) とは?
先ず始めに SHD の概要について簡単に振り返っておきましょう。
SHD は Skyline と対を成す VMware Skyline の関連プロダクトです。Skyline は環境で発生する可能性のある不具合などを事前にレポートする製品である一方、SHDは障害発生後のログを機械的に分析し、解析結果を提供する製品となります。このような各プロダクトにおける役割の違いは、下記の表の通りそれぞれ「プロアクティブ/リアクティブ」(つまり、予防措置と事後対処) というキーワードを用いて整理されています。SHD は後者となる「リアクティブ」の役割を担います。
また、インターネットを利用すること無くオフラインでも使用可能な点も SHD の大きな特徴です。障害発生後の VMware ESXi や VMware vCenter のログバンドルさえあれば、問題の解析を行うことが出来ます。
最新の SHD 3.5.0 にて導入された注目の新機能
プロダクトの詳細な解説は別の記事に譲りますが、本稿では SHD の最新リリースにて新たに追加された機能について取り上げたいと思います。今回ご紹介する注目の新機能は以下の3点です。これらについて順を追ってご紹介します。
- VMware vCenter Server アップグレード事前チェック機能の導入
- リモートサーバーからのログバンドル解析をサポート
- Integrate health and diagnostics plugin with vSphere Client の導入
1. VMware vCenter Server アップグレード事前チェック機能の導入
vSphere 6.5 及び 6.7 は 2022 年 10 月 15 日にジェネラルサポートフェーズの終了がアナウンスされましたが、今後1年程度を目安にテクニカルガイダンスフェーズも終了を控えており、近いうちに vSphere 7.0 以降へのアップグレードが必要です。
SHD 3.5.0 では、今後アップグレードが必要となる vCenter 6.5, 6.7 に対してアップグレード前の事前チェックを実行できる機能が導入されました。この機能を用いることで、vCenter のアップグレード作業前に、アップグレードを妨げる要因となり得る既知の問題や構成面の不備について確認することが出来ます。
実行方法も非常に簡単で、従来のレポート作成時の操作と同様に、SHD の管理画面から対象の vCenter に接続し、タスクを実行するのみとなります。以下はアップグレード事前チェック実行後のレポートのスクリーンショットとなります。レポートには Red や Orange など重要度毎に問題が列挙されており、また、それぞれの問題を解消する為に参照すべき KB の情報なども含まれています。
2. リモートサーバーからのログバンドル解析をサポート
以前のリリースにおいてはログ解析を行う際、SHD の管理画面に vCenter や ESXi を登録するか、もしくはローカルの端末に保存したログバンドルを SHD の管理画面経由でアップロードする必要がありました。SHD 3.5.0 からは別サーバーに保存されているログバンドルをローカル端末に保存することなく、FTP 等のプロトコルを用いてファイルを取得し解析を行うことが出来るようになりました。下記のスクリーンショットの通り、SHD の管理画面に利用する転送プロトコルなどの必要な情報を入力するだけで、リモートサーバーに存在するログバンドルを簡単に取得し、解析を実行することが出来ます。転送プロトコルには FTP, FTPs, SFTP, HTTP ,HTTPs がサポートされます。
3. Integrate health and diagnostics plugin with vSphere Client の導入
SHD 3.5.0 では vSphere Client 7.0 以降にて動作するプラグインが新しく導入されました。この新機能により vCenter からプラグインを介して SHD を操作し、ログの解析と解析結果の閲覧が可能となります。導入の際は以下のスクリーンショットの様に SHD の管理画面に必要な情報を入力し、vCenter にプラグインを登録します。
登録が成功すると、vCenter にプラグインがデプロイされます。これで vSphere Client 上のメニューに「Skyline Health Diagnostics」 の項目が追加され、vCenter から SHD の機能を利用出来る様になります。以下のスクリーンショットの画面からログ解析タスクの実行や、解析後のレポートの閲覧が可能です。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は最新リリースとなる SHD 3.5.0 の新機能についてご紹介致しました。VMware Skyline では、お客様の障害対応を円滑に行う為に、新機能が続々と追加されています。これを機に是非とも新しい SHD を導入し、お客様の日々の運用業務にお役立て下さい。