みなさま、はじめまして! マイクロソフトの前島と申します。
Global Black Belt (GBB) というクラウド先進技術に特化したチームに所属し、私はその中でも Azure VMware Solution (AVS) 専任のプリセールスエンジニアとして活動しています。
まず大事なご報告です。2020年12月1日より、AVS を Azure 東日本リージョンでもご利用いただけるようになりました!
2020年5月のプレビュー発表以降、”いつから日本で使えるのか?”というお問い合わせを数多くいただいてきましたが、大変お待たせいたしました。これから本 Blog の場をお借りして、AVS に関する様々な情報をお届けできれば幸いです。
■ Azure VMware Solution とは?
Azure VMware Solution を一言で言うと、マイクロソフトが提供する VMware プライベートクラウド (Software-Defined Data Center) です。少し名称が長いので、頭文字をとって AVS (エーブイエス) と呼ぶことが多いです。
サービスの詳細は今後の記事で順次解説していきますが、初回となる今回は主なコンセプトを3つご紹介します。
1. Microsoft によるファーストパーティサービス
AVS は、開発、運用、販売、サポートいずれにおいても Microsoft が一気通貫で対応するサービスです。
Azure 上で提供される他のサービス同様、たとえば障害対応サポートにおいても、マイクロソフトがお客様に対する単一の窓口として機能します。そのため、何か問題が発生したときにありがちな “どこに問い合わせればよいのか?”、”ベンダー間で回答がたらい回しで…”という心配がいりません。
もちろん現実的には、VMware 製品の技術固有の仕様に踏み込んだ障害対応や解析が必要になる場合も考えられます。その場合も Microsoft と VMware のサポートエンジニアが連携して問題対応にあたり、マイクロソフトとしてお客様に回答します。
2. オンプレミスとの高い互換性
AVS は、VMware が提供する「VMware Cloud Foundation (VCF)」 に基づいて、Microsoft と VMware が共同開発を行っています。
VCF は “ハイブリッドクラウド” を基本コンセプトとしたアーキテクチャーであり、現在オンプレミスでご利用中のプライベートクラウドと最大限の互換性を確保できるように設計されています。
たとえば AVS では、VMware が提供する VMware HCX を標準提供しています。HCX vMotion によるオンプレ ⇔ AVS 間での仮想マシンの無停止移動や、HCX L2 延伸機能を用いたセグメント延伸(= IP アドレスや MAC アドレスさえ変更しない仮想マシンの移行)が可能です。
これら移行は片道切符ではなく、AVS からオンプレミス側に仮想マシンを戻すことも可能です。
そのため、データセンターの縮小・廃止などを目的としたクラウド移行のシナリオはもちろん、たとえばビジネスの繁忙期でオンプレミス側リソースが不足するときだけ AVS を立ち上げて、コストを最適化しつつ必要なキャパシティをオンデマンドで確保するといった使い方もできます。
(料金体系については別の回に改めて触れますが、AVSは1時間単位の従量課金を採用しています)
少し観点が変わりますが、AVS では Azure ハイブリッド特典というライセンス特典も適用できます。オンプレミス側で所定のライセンスをお持ちのお客様は、新たにライセンスを調達することなく、AVS 上で Windows Server や SQL Server を稼働できます。
また Microsoft 365 Apps for enterprise (旧称 Office 365 ProPlus) や Windows 10 ももちろん利用できますので、たとえば VDI のような用途でも AVS をご活用いただけます。
(ライセンス関連の特典もよくご質問いただく事項ですので、別の回でより深く解説します)
3. Azure ネイティブサービスとの高い親和性
AVS は、グローバルパブリッククラウドである Microsoft Azure 上のサービスの一つとして提供されます。Azure では現在 200 を超えるサービスが提供されており、どれか一つを単独でご利用することもできますが、複数のサービスを組み合わせていただくことで、クラウドらしい柔軟性や拡張性、俊敏性を享受できます。
組み合わせ方法は無限大ですが、AVS とほかのAzureサービスの典型的な統合例をご紹介します。
- Microsoft Azure Backup Server (MABS) を用いて AVS 上の仮想マシンを簡単バックアップ。安価なクラウドストレージ (BLOB) にアーカイブを保管できるためコストも最適化。
- レイヤー 7 Web トラフィック ロード バランサーである Azure Application Gateway を用いた、柔軟性とスケーラビリティの高い負荷分散の実現。
- Azure セキュリティ関連サービスを用いたセキュリティの向上。ワークロード全体の高度な脅威保護を提供する Azure Security Center、統合ログ管理を行う Log Analytics、クラウドネイティブな SIEM + SOAR を実現する Azure Sentinel などさまざまなセキュリティ関連サービスを提供しており、AVS 上の仮想マシンもこれらの保護対象に含めることが可能。
■ もっと知りたいという方は?
本記事では、ついに日本でも提供が始まった Azure VMware Solution の基本コンセプトをお伝えしました。
今後もさまざまな視点から最新情報や技術解説を行う予定ですが、「今すぐ AVS の概要・全体像を知りたい!」 という方がいましたら、過去に実施した AVS ウェビナーの録画版をぜひご視聴ください。もちろん弊社担当営業にお問い合わせいただければ、より詳しいご紹介も可能です。