VMworld 2014 からの注目セッションの第 3 回目は、Software-Defined Data Center 向けの Software-Defined Storage である Virtual SAN (VSAN)を導入する際のシステム構成に関するガイドをご紹介します。
How to Build a Virtual SAN – Virtual SAN のシステム構成について
Virtual SAN を導入するには、現在 3 つのアプローチがあります。
- Virtual SAN Ready Node で構成
- VMware Compatibility Guide に掲載されている ESXi + Vitual SAN 対応のハード、コンポーネントで構成
- コンバージドインフラ(統合インフラ)製品である EVO:RAIL を利用
EVO:RAIL については、本シリーズの第 2 回目に説明がありますので、今回は Virtual SAN Ready Node による構成方法と VMware Compatibility Guide を参照しながらの構成方法について説明します。
1. Virtual SAN Ready Node による構成
Virtual SAN Ready Node とは、サーバ OEM ベンダより提供される Vitrual SAN 推奨構成です。VSAN で必要となるハードウェアコンポーネント、vSphere と Virtual SAN が事前に構成されているので、システム構築時間を大幅に短縮することができます。また、構成のプロファイルとして、サーバワークロード向け(Low, Medium, High)と VDI ワークロード向け(Full Clone、Linked Clone)の 5 つのプロファイルが用意されており、導入するシステムのワークロード、規模に合わせて選べるようになっています。
この Virtual SAN Ready Node の構成詳細は、VMware Virutal SAN Ready Nodes で確認可能で、8/15/2014 版のガイドでは、8 社のサーバ OEM ベンダから 40 種類の構成が Virtual SAN Ready Node として登録されています。
Virtual SAN Ready Node としては、将来以下のようなコンフィグレーションもリリースされる計画があります。
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- Ready Nodes for Blade Servers with Direct Attached Storage
- Ready Nodes with High Density Storage From Factors
- Ready Nodes with Hardware Checksum Protection
- Ready Nodes with Hardware Encryption
- Ready Nodes with end to end 12G support
- Ready Nodes with NVMe devices for super-charged performance
- Ready Nodes with All Flash
2. VMware Compatibility Guide で Virtual SAN 対応のハード、コンポーネントを確認して構成
Virtual SAN は、Virtual SAN Ready Node に掲載されている機器だけでなく、Virtual SAN 動作認定されているコンポーネントを組み合わせて自由に構成することも可能です。Virtual SAN を利用するには、ホストが最小 3 台、内蔵 HDD と SSD とクラスタを構成するためのネットワークが必要となりますので、要件に合わせる形で構成していきます。
基本的には、導入する ESXi バージョンに対応したハードウェアで構成しますが、SSD、HDD、SAS/SATA コントローラ(ストレージコントローラ)については Virtual SAN 用の VMware Compatibility Guide がありますので、ここに掲載のあるコンポーネントで構成します。
それでは、この VMware Compatibility Guide に沿って構成していきます。
1. I/O Controller
I/O Controller セクションで、Virtual SAN でサポートされる I/O Controller (ストレージコントローラ)と対応しているデバイスドライバが確認可能です。
リストに出てくるコントローラの詳細を確認すると、そのカードでサポートされている RAID モード(Pass-Through モードか RAID0)、ESXi やデバイスドライバのバージョンを確認することができます。
2. HDD
Virtual SAN は、SAS、NL SAS、SATA HDD をサポートし、大容量向けの 7,200 RPM、パフォーマンス向けの 10,000 RPM、より高いパフォーマンス向けの 15,000 RPM のドライブの中から構成します。
3. SSD
SSD についても、HDD 同様に Virtual SAN 対応しているもので構成する必要があります。SSD については Performance Class という項目があり、構成時に SSD のパフォーマンスを考慮する事が出来るようになっています。
Performance Class: Class B: 5,000-10,000 writes per second Class C: 10,000-20,000 writes per second Class D: 20,000-30,000 writes per second Class E: 30,000+ writes per second
4. その他のパーツ
サーバ本体(3 台以上 32 台まで)、NIC、ESXi 起動用デバイスについては、お使いになる ESXi のバージョンでサポートされているもので構成します。
Hardware Solution Guidance
ここでは Virtual SAN 用のハードウェア構成上の注意点について説明します。
起動用デバイス
ESXi 起動用デバイスについては、ESXi ホストに搭載されているメモリ容量に依存します。
- メモリ容量が 512GB 未満
Virtual SAN 領域とは別の磁気ディスクや SSD、容量 4GiB 以上の容量を持った SD/USB - メモリ容量が 512GB 以上
Virtual SAN 領域とは別の磁気ディスクや SSD
フラッシュデバイス
Virtual SAN において、全てのリード・ライト処理は、フラッシュ階層に直接渡されます。また、Virtual SAN では、フラッシュベースのデバイスは 2 つの目的に利用されます。
- 不揮発性のライトバッファ(容量の 30%)
- リードキャッシュ(容量の 70%)
Virtual SAN においては、フラッシュデバイスの選択は、最もパフォーマンスに影響するので、製品の選択には注意を払う必要があります。
磁気ディスク (HDD)
SSD の選定と、SSD:HDD の比率は、クラスタの性能を左右します。大まかなガイドラインでは、10% となります。
ストレージコントローラ
SAS/SATA ストレージコントローラに関するガイドは以下のものがあります。
- Pass-Through モードと RAID0 モードをサポート
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ストレージ コントローラーのキュー深度が重要
より深いストレージコントローラーのキュー深度はパフォーマンスを向上させる
参考:キュー深度は、VMware Compatibility Guide で確認可能 -
ストレージコントローラがサポートするドライブ数を確認する必要がある
- RAID0 モードを利用する場合の SSD の性能は、ストレージコントローラに依存
- RAID0 モードの場合、ESXi はフラッシュベースのデバイスと磁気ディスクを区別できない場合がある
その場合は、esxcli コマンドを使用し、デバイスを SSD とするフラグを立てる
参考:Enabling the SSD option on SSD based disks/LUNs that are not detected as SSD by default (2013188)
ネットワーク
ネットワークに関するガイドは以下のものがあります。
- 1Gb / 10Gb をサポート(10Gb を強く推奨)
1Gb の場合は、Virtual SAN 専用のネットワークとすることを推奨 - ジャンボフレームにより僅かながら性能向上する可能性あり
新規デプロイの場合は有効にする - Virtual SAN は仮想スイッチと分散仮想スイッチをサポート
備考:Virtual SAN のライセンスに分散仮想スイッチのライセンスも含まれます - ネットワーク帯域の性能は、通常のワークロードよりも、ホストの待機やリビルドに対して大きな影響を与える
最後に
VMware Compatibility Guide は、比較的頻繁にアップデートされていますので、Virtual SAN 環境を構成/構築される場合は、その都度サポート状況を確認するようにして下さい。