皆様こんにちは。VMwareの大原と申します。
8月末より、米国サンフランシスコにてVMworld2014が開催されました。 概要につきましては、VMware日本法人からVMworldに参加したメンバーから速報ブログとして情報をお届けしましたが、今回はいくつかのセッションにフォーカスして、より詳細な情報を数回に分けてお届けして行きたいと思います。
第1回目として、多くのお客様にお使い頂いているvSphereの最新情報について触れられている、セッション番号INF1502 (What’s New in vSphere) の内容についてご紹介をしていきます。
本セッションでは、以下の3つのトピックについて触れられています。
・vSphere 5.5 update 2
・vSphere for ROBO
・次期vSphereのTech Preview
それでは、各トピックについて見て行きたいと思います。
□ vSphere 5.5 update 2
vSphere 5.5 update 2に関しましては、9月9日に既にリリースされています。 新しいハードウェアのサポートやバグフィックスに加え、vCenterのサポートデータベースの追加が含まれています。
詳細につきましては、以下のリリースノートをご一読下さい。
https://www.vmware.com/support/vsphere5/doc/vsphere-vcenter-server-55u2-release-notes.html
□ vSphere for ROBO
・ROBOとは?
ROBOとはリモートオフィス/ブランチオフィスの略です。
地域や企業規模によって若干異なりますが、24%程度がROBOで必要なリソースとなっています。
一方で、仮想化を進める目的も異なります。ハードウェアの抽象化や標準化、俊敏性の向上、可用性の向上、コンプライアンスの強化など共通の目的も多く存在しておりますが、リソース利用の効率化を目的とした統合率向上などはROBO環境での目的には含まれません。
例えば、本社側での平均統合率は1CPUあたり8-10VM、ROBOでの平均統合率は1CPUあたり1.5-2VMという非常に興味深い結果となっております。
・ROBOの課題は?
ROBO環境での課題として上げられるのは、IT管理者の不足です。 本社側には専門の担当がいらっしゃいますが、ROBO環境の場合には現場のSEの方が片手間で行っているケースも多いかと思います。 よって、何か問題が発生したとしても、迅速な対応ができないケースも出てきます。 また、本社側からの見た場合、ROBO環境へのネットワークがシングルポイントとなってしまっていることで、管理に影響を与える可能性もあります。 そして何よりも、上記のような課題がありながらも、ROBO環境でのIT予算は限られているケースが多いということです。
・vSphere for ROBOで使用可能な機能
今回発表したROBO用のライセンスは、各拠点に対して25VMを分散して配置させて稼働させることができるライセンス体系であり、かつ25VMを上限として単一のサイトでの使用も可能なライセンス体系となっております。また、遠隔地で求められる可用性向上のための機能として、FTおよびStorage vMotionが含まれています。 従来、ROBO環境で使われていたEssential Plusのライセンスには、それらの ライセンスが含まれておりませんでしたので、機能的に大きなメリットがあります。
価格につきましては、本Blog執筆時点で外部情報として公開はされておりませんが、以下ブログ内にドルベースでStandardが3000ドル、Advancedが4500と記載があり、従来のEssential Plusと比較(※1)して、コスト的にもメリットのあるライセンス体系となっております。
http://blogs.vmware.com/vsphere/tag/vsphere-robo
(※1)vSphere for ROBOの価格は、上記Blogから抜粋しています。
極力コストを抑えつつ、高い可溶性が求められる小規模のROBO環境をお持ちのお客様は、ROBOのライセンスを是非ご検討下さい。
□次期vSphereのTech Preview
今回のVMworldでは、次期vSphereに関するTech Previewが公開されました。ここでは、Tech Previewに関する情報をお届け致します。 合わせまして、Publicベータも始まっておりまして、どなたでも登録することで次期vSphereをダウンロードして触って頂くことが可能です。 ご興味ございましたら、Publicベータにも是非ご参加下さい。(以下のスライド内のリンクを参照下さい。)
・vCenter跨ぎのvMotion
従来のvMotionは同一vCenter管理下のリソースに対してのみ実行可能でしたが、vCenterを跨いだvMotionが可能となります。 その際、移動先のvCenter上で管理されているポートグループを指定します。
仮想環境の拡大にあたり、vCenterの管理が分かれるケースもあるかと思いますが、vCenterを跨いでvMotionを行うことによりインフラ全体の冗長性が向上すると共に、管理の共通化が進む可能性もあり非常に注目される機能と言えるでしょう。
・Long Distance vMotion
遠隔拠点へのvMotionもサポートされるようになります。 vSphere4.1ではRTT (Round Trip Time) が5ms、vSphere5.0でRTTが10msと徐々にサポートされるRTTが大きくなってきましたが、次期vSphereで100msまでのRTTをサポートされるようになります。 従来、EMC VPLEXなどのソリューションと組み合わせることでLong Distance vMotionが実現可能でしたが、vSphereの機能のみで遠隔地へのvMotionが実行可能となります。
vMotionの実行にあたり、メモリイメージや、場合によってはvmdkも転送するので、遅延だけではなくある程度の帯域も必要となりますが、追加の特殊なハードウェアを使わず遠隔地へのvMotionを行えるのが大きなメリットです。 vCenter跨ぎのvMotionの機能と組合わせることで、システムを止めずに遠隔地のリソースも有効に使ったシステム管理が可能となります。
・複数vCPUでのFTサポート
vSphere 4.0 から提供されたFTの機能ですが、これまでは1vCPUのVMでのみサポートされていました。 そして遂に、次期vSphereで最大4vCPU環境でのFTがサポートされるようになります。
専門の管理者がいない環境でのサーバ障害発生時の影響の最小化や、システムダウンが許されないデータベースサーバやメールサーバ用途のVMに対する可用性向上のために有効な機能となります。
・コンテンツライブラリ
vCenter配下では様々なオブジェクトが管理されています。複数vCenterを構成する際には、Linked Modeを使用することでロールやライセンス情報の同期は可能ですが、VMテンプレート、OVF、ISOなどは複数vCenter間で同期することはできませんでした。 vCenter跨ぎでvMotionを実行する機能を使用する場合、各vCenter間で同様の情報を保持させるというニーズも出てくるかと思いますが、Content Library の機能により実現可能となります。
・仮想データセンターとポリシーベースの管理
仮想データセンターは、単一vCenter配下の複数のクラスタリソースを束ねたオブジェクトです。仮想データセンターはアプリケーションやビジネスユニット、プロジェクト毎に定義をしていきます。
ポリシーベースの管理の機能とは、IT管理者がVMの配置やストレージに関するポリシーを予め作成しておき、各ポリシーを特定のクラスタやホスト、データストアと紐付けます。
仮想データセンターとポリシーベースの管理を連携させることにより、 仮想データセンターの管理者がvCenterのリソースの詳細を知ることなく、決められたポリシーに準じて仮想マシンの配置を最適化することができます。
企業は組織毎に、もしくはそれらの組織から求められるサービスレベル毎に、複数の仮想データセンターを定義することで管理性を向上させることが可能です。
今週のトピックである”What’s New in vSphere”は以上となります。
来週以降もVMworldから注目のセッションをピックアップしていきますので、是非ご期待下さい!
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