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vSphere 5.5 の新機能紹介 vSphere Replication (VR)

このBlogは、製品出荷前のバイナリ及びマニュアルをベースに記載しています。出来る限り正確な情報をお伝えするよう努めておりますが、実際に製品に搭載される機能や表示とは異なる可能性があります。あらかじめご了承の上、ご利用下さい。
今回は、vSphere のバージョン5.1 より導入されているvSphere Replication に焦点を当て、先日発表されましたバージョン5.5 で追加された新機能・特徴の概要をご紹介します。(vSphere 5.0 では、vCenter Site Recovery Manager 5.0 を使用することでvSphere Replication の機能を利用可能でした。)
バージョン5.5 で追加されたvSphere Replication の主な新機能は以下となります。

1. レプリケーション先は、vCenter Server 1 台あたり最大10 か所
2. 複数の復帰ポイントの保持可能
3. Storage DRS との互換性

それぞれの機能について見ていきましょう。

1. レプリケーション先は、vCenter Server 1 台あたり最大10 か所
vSphere Replication では、レプリケーション先を複数登録することが可能です。
例えば、Site A の仮想マシン1 は、Site B へレプリケーションし、 Site A の仮想マシン2 は、Site C へレプリケーションをすることが可能です。(fan-out)
本バージョンでは、Site B やC のようなレプリケーション先のサイトを最大10か所登録することが可能になっております。
さらに、Site B の仮想マシン3 をSite A へレプリケーションし、Site C の仮想マシン4 をSite A へレプリケーションするような構成をとっていただくことも可能です。(fan-in)
これにより図1 のような柔軟な構成をとっていただくことが可能になります。


図1. vSphere Replication のトポロジー2. 複数の復帰ポイントの保持可能
vSphere 5.1 で導入されたvSphere Replication では最新のレプリケーションが完了すると過去のレプリケーションは上書きされてしまうため、復帰可能なポイントは1 つしかありませんでした。レプリケーション元の仮想マシンが論理障害やウィルス感染してしまい、タイミングによっては、その状態がレプリケーションされてしまうことも想定されるため、復帰可能なポイントは複数あることが望まれます。それによりリカバリ時間を早めることが可能になります。
本バージョンでは、レプリケーション先に最大24 の復帰ポイントを保持することが可能になりました。

設定は、レプリケーションの構成ウィザード内の ”特定の時点のインスタンス” という項目で可能になりますが、この項目はWeb Client でのみ表示されます。Site Recovery Manager を導入している環境であっても、 vSphere Client では表示されませんので、ご注意ください。(図2)

図2. Web Client を使用したvSphere Replication の構成ウィザード画面Web Client では、過去レプリケーションされた保持されている復帰ポイントを確認できます。(図3)

図3. Web Client を使用したvSphere Replication 監視画面リカバリが完了した仮想マシンで、”スナップショットの管理”を確認すると、保持されている復帰ポイントがスナップショットとして表示されます。(図4)この時点では、最新のレプリケーションが完了した時点にリカバリしているので、希望する復帰ポイントを指定して、その時点に戻します。

図4. 仮想マシンのスナップショット管理画面3. Storage DRS との互換性
vSphere 5.1 までは、Storage vMotion 実施後、前回のレプリケーションからの更新情報が維持されず、Storage vMotion 実施後の最初の同期が完全同期になっておりました。
(この時の完全同期は、すべてのデータが送られるのではなく、ソースとターゲットディスクの比較検証が実行されるため、レプリケーション完了まで時間が掛かっておりました。)
そのような理由から、vSphere Replication で保護している仮想マシンは、Storage vMotion をサポートしておらず、Storage DRS との互換性がありませんでした。

本バージョンより、Storage vMotion がサポートされ、Storage DRS との互換性を持ちますので、vSphere Replication 導入した環境におけるストレージの集約率向上及び、メンテナンス性の向上を図ることが可能になります。
図5 の画面はStorage DRS を有効にしているデータストアクラスタにて、あるデータストアをメンテナンスモードへ切り替えを実施した際に表示される移行の推奨画面になります。
移行の推奨の対象と表示された仮想マシン(w2k8r2-srm2)は、vSphere Replication 構成済みの仮想マシンになります。
vSphere 5.5 では、Storage DRS との互換性を持ちますので、推奨の適用を実施します。

図5. Storage DRS メンテナンスモード移行による推奨データストア移行直後の仮想マシン(w2k8r2-srm2)を手動で同期させた際の結果が以下の画面になります。Storage vMotion が実行された後も更新情報を維持できているため、レプリケーション間での更新が少なければ、非常に短い所要時間でレプリケーションが完了していることが確認できます。(図6)

図6. Web Client を使用したvSphere Replication 監視画面次回は、vSphere 5.5 で追加されたネットワークの新機能・特徴をご紹介いたします。