vCenter Server バージョン5.1 では、より高いパフォーマンス、低いレイテンシを実現し、かつ統計情報を合理的に処理する改善が行われています。以下URL のTechnical Paper では、これらの改善点の解説と、vCenter Server デー タベースのパフォーマンスと大規模環境におけるベストプラクティスが提供されております。こちらのベストプラクティスの内容を3 回に渡り、ご紹介していきます。
http://www.vmware.com/resources/techresources/10302
エグゼクティブサマリ
VMware vCenter Server 5.1 では、統計サブシステムに対するいくつかの重要な改善が行われております。
統計データは、vCenter Server データベースのストレージに大きな影響を与えるため、vSphere のパフォーマンスが妨げられないようにデータを取り扱う必要があります。
vCenter Server 5.1 では、データベースのストアドプロシージャ、特にロールアップとTopN 手順に関する改善を通して、データベースのリソースオーバーヘッドを削減しています。
本ドキュメントでは、改善点と、改善点を利用するためのデータベースのベストプラクティスを提供します。
・Oracle Database とSQL Server のためのディスクを配置する方法
・非常に変わりやすいテーブルのインデックス統計を更新する方法
・パフォーマンス向上のためにテーブルとインデックスを切り離す方法
・SQL Server のEnterprise Edition の機能を利用する方法
・Oracle Database とSQL Server の特定のパラメータを調整する方法(例えばSQL Server のための同時実行閾値)
vCenter Server が管理することができるインベントリ(仮想マシン、ホスト、クラスタ、データストア、クラスタ)の最大値に近い環境でvCenter Server を導入を検討する場合、5.1 での改善は非常に重要です。
イントロダクション
vCenter Server では、リレーショナルデータベースに重要なデータが保持し続けられ、データベースはvCenter Server パフォーマンスの重要なコンポーネントとなります。
このデータは1) インベントリと構成データ、2) タスクとイベントデータ、3) アラームデータ、4) 統計データの4つのカテゴリに分類されております。
この中でも統計データがデータベースのかなりの部分を消費するため、適切な統計機能はデータベース全体のパフォーマンスの重要な考慮点となります。
統計情報の収集と処理は、vCenter Server パフォーマンスのための重要な構成要素となります。
図1.vCenter Server における統計サブシステムの概要vCenter Server には、統計サブシステムのために保存期間と統計レベルの2 つのキーとなるセッティングがあります。
vCenter Server は定期的に各々のESXi ホストから統計情報を集めて、リレーショナルデータベースへデータが保持し続けられます。データベースは、いろいろな間隔でこのデータをまとめるためのいくつかのストアドプロシージャを順番に実行します。
各ESXi ホストは、20 秒ごとに統計情報を集め、vCenter Server では、これらはリアルタイム統計と呼ばれています。vSphere Client のパフォーマンスタブで詳細ボタンを選ぶことによって、リアルタイム統計を見ることができます。クライアントでは、直接ESXi ホストからリアルタイム統計を受け取っているため、データのタイムリーさを確実にして、データベースにストレスを与えません。
これらの20 秒の統計情報は定期的に5 分の統計情報にまとめられ、vCenter Server はこれらの5 分の統計情報を過去1 日のテーブルに保管します。15 個の20 秒のリアルタイム統計を一つの5 分の統計情報に変える手順は、ロールアップと呼ばれています。
またvCenter Server データベースに保管される統計情報には、いくつかの収集頻度があり、5 分の統計情報にロールアップするのと同じように、バックグラウンドでより大きな収集頻度の統計情報にロールアップするために、定期的にストアドプロシージャを実行します。
・過去1 日の統計ロールアップ手順は、5 分の統計情報を30分の統計情報に集約するために、30 分毎に動作します。
・過去1 週間統計ロールアップ手順は、30 分の統計情報を2時間の統計情報に集約するために、2 時間毎に動作します。
・過去1 ヶ月統計ロールアップ手順は、2 時間の統計情報を1日の統計情報に集約するために、1 日毎に動作します。
vSphere Client のパフォーマンスタブで詳細ボタンを選択し、チャートオプションを変更することにより、過去の統計情報を見ることができます。この場合、データベースから統計データを受け取ることになります。
vCenter Server には、統計サブシステムのために保存期間と統計レベルの2つのキーとなるセッティングがあります。
・保存期間: これは、統計情報をデータベースに保存する期間を指定します。データは保存期間よりも古い場合には、期限切れとみなされ、データベースから削除されます。
-1 日:5 分毎の統計情報は、1 から5 日保存されます。
-1 週間:30 分毎の統計情報は、1 週間保存されます。
-1 ヶ月:2 時間毎の統計情報は、1 ヶ月保存されます。
-1 年:1 日毎の統計情報は、1 から5 年間保存されます。
・統計レベル: 一般的には、レベルが高いほど、より詳細な統計情報の取得が可能であり、データベースに保存される容量が大きくなります。
-レベル1:最小限の詳細統計レベルであり、CPU 、メモリ、ネットワークの使用率のような最も重要な統計情報が含まれます。
-レベル2 :レベル1に比べ、より詳細な統計情報が含まれます。
-レベル3 :インスタンスごとの統計情報が含まれます。例えば、CPU 毎のホストのCPU 使用率
-レベル4 :最も詳細であり、他のすべての統計レベルが含まれます。
図2. 各統計レベルの保存期間を指定するダイアログボックス今回はvCenter Server データベースの改善ポイントの概要をご紹介させていただきました。その2 では、より具体的な改善内容、その3では、データベースパフォーマンスのためのベストプラクティスを引き続きご紹介していきます。
関連記事はこちら(その2 、その3 )をご覧ください。
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