こんにちは、Dell EMC教育部の坂井 大和です。
今回はNSXのトレーニングの重要性と合わせて、トレーニングを受ける前に身につけておきたいスキル
をご紹介します。
前編の終わりに、”NSXの運用管理にはvSphereとネットワークの両側面の知識が必要である”と説明
しました。
本トレーニングの参加者傾向として次のものが挙げられます。
- vSphere管理、操作を普段から行なっているサーバーサイドのエンジニア
- ネットワークではL2, L3スイッチ、ルーティング層が得意なネットワークエンジニア
ここがポイントなのですが、次のようなエンジニアの方にお会いする事が少ないような気がします。
- サーバー、ネットワーク、仮想化をマルチにこなすエンジニア
- ネットワークエンジニアとして、L2スイッチング, L3ルーティングはもちろん、より上位層の
管理運用も普段から行なっているエンジニア
トレーニングでも両方を取り扱うため、効率よく学習を進めるためには、自分が普段担当していない
分野の事前知識があるととても効率が良いと言えます。
つまり、vSphereのスキルがあるエンジニアはネットワークのスキル事前学習をお勧めします。
反対に、ネットワークよりのエンジニアにはvSphereに関する事前学習をする事をお勧めします。
ちなみに私はVMware公認インストラクターになった際にはこのようなスキルでした。
- vSphereの学習経験は1-2年程度、初めて触ったvSphereは5.0
- ネットワークは独学でCCNA及びCCNP Switchまでを取得済み
VMware NSX学習のための事前準備:vSphereエンジニアの場合
これらをトレーニング受講前に学習されるとより効果的にVMware NSXを学習出来ると言えます。
- Cisco認定資格 CCENT又はCCNAを取得またはそのための学習を行う
- ネットワークの階層化構造である”OSI参照モデル”を説明出来るようにする
- 次の製品について、説明が出来るようにする
ネットワークスイッチ、ルーター、ファイアウォール、ロードバランサー、VPN
以上の3つを基準に準備をされると良いといえます。
まずなぜCisco資格なのかといいますと、そもそもVCP-NVの取得パスとして、CCNA以上の資格を
持っていれば、VMware公式トレーニングの受講無しでも資格試験合格さえすれば認定を受けられる
というパスが存在します。
https://www.vmware.com/education-services/certification/vcp6-nv.html
この点から、CCNA相当の実力があればVMware NSXのことを理解するのには十分であると言えます。
実際に私も一個人としてそう考えます。
あとの2つの条件については、CCNA相当の学習をしていれば、自ずとこれらの単語の説明もできる
ようになる気がしますが、VMware NSXで仮想化するネットワークアプライアンスがこれらです。
それぞれの用語の意味を事前に押さえておくことで、トレーニング内で仮想化することにより各デバイス
の動作が物理デバイスだった場合とNSXによる仮想化後では動きがどのように変わるのか?
変わったことでどのような利点が生まれたかを理解しやすくなります。
VMware NSX学習のための事前準備:ネットワーク エンジニアの場合
これらをトレーニング受講前に学習されるとより効果的にVMware NSXを学習出来ると言えます。
- サーバーと共有ストレージの基本概念の理解
- vSphere HA/vSphere vMotion/vSphere DRSの機能説明が出来るようになる
- vSphere Web Clientを始めとするGUIインターフェースの操作に慣れる
- vSphere 仮想スイッチの概念の理解
VMware NSXは、単純に物理的なネットワークアプライアンスをソフトウェアベースに転換するイメージ
であると説明しましたが、一部のネットワークサービスは”仮想マシン”として提供、動作します。
これらはvSphere HA/vMotion/vSphere DRSといったクラスタリング機能と相互連携することで高
可用性が実現出来ます。
上記いずれの機能も、複数の物理サーバーと1つ以上の共有ストレージ領域が必要となります。
つまり、サーバーとストレージの基礎概念及び各種クラスタリング機能の理解は、ネットワークサービス
の冗長性に対する理解につながると言えます。
また、vSphere特有のインターフェースの操作、見え方も理解をしておく必要があるでしょう。
例えば次の図は、ある特定のサーバー上にある1つの物理NICポートが、”仮想スイッチ”と呼ばれる抽象化
されたスイッチに接続されている図を示します。
1台の物理サーバー上で動作する仮想マシンの台数は数十台~数百台になる場合もあると言えます。
これらのIOのために同数の物理NICポートをサーバーに備えるのは不可能です。
各家庭のインターネット環境で例えるなら、1つのルーターに複数のスマートフォンやデバイスが
つながっているように、一つの出入り口をシェアをしているイメージとなります。
勿論この物理ポートを、耐障害性強化のためにチーム化することも可能です。これらの設定確認や
変更には全てvSphere Web Client及び後継インターフェースとなるvSphere Client for HTML5
を利用します。
いかがでしたでしょうか?VMware NSXは次世代のネットワーク仮想化製品です。
いずれのエンジニアの方であっても少々難しく感じることがあっても、誰にとってもはじめての製品は
難しく感じるのですから、心配はいりません。
私も初めて仮想化やネットワークを学んだときは、新しいことだらけでとても大変だった記憶があります。
今の市場ではITインフラの急成長に伴い、一人のエンジニアに求められるスキルレベル、範囲も広がり
つつあります。
是非トレーニングを通じて製品への理解促進を効率化して頂ければ幸いです。
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