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第3回 VMware Virtual SAN(VSAN)搭載アプライアンスVxRailとは? ~ VxRail の運用と管理:前編 VxRail Managerのご紹介 ~

こんにちは、ネットワールドの石塚智規です。前回のハイパーコンバージドインフラのアプライアンス「VxRail」のセットアップの続きで、今回は管理の方法についてご紹介したいと思います。
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VxRail Managerによるシンプル管理

VxRailはvSphere環境を簡単に管理する手段として専用のGUI = VxRail Managerを搭載しています。このGUIにより、vSphereのリソース状況やハードウェアのステータス状況などを一括して管理することができます。
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VxRail Manager の管理画面は以下の様な特徴があり、使いやすいと好評頂いています。

  • マウスクリックや画面スクロールなどの操作感が非常に軽快
  • ログインした時点でアプライアンスの状態(正常, 警告, エラーなど)が把握できる
  • 1クリックでリソース(CPU, メモリの利用率やディスクIO)の状況が把握できる
  • リソース状況画面と同じ画面上にハードウェアステータスを把握できる(壊れているパーツがあれば赤く警告される)
  • 故障個所がアプライアンスのどの位置で発生しているのかグラフィカルに表示される
  • 追加ノードを自動的に検出, ウィザードを利用して簡単(5分)で追加できる
  • ボタン1つでアプライアンス全体の電源断ができる

では、実際の管理の方法について具体的にご説明したいと思います。

管理GUI=VxRail Managerへのログイン

アプライアンスの管理GUIであるVxRail Managerへログインしてみます。ブラウザを起動して、URLにセットアップのときに指定したVxRail ManagerのIPアドレスもしくはホスト名を指定します。
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ログインアカウントはvCenterと同じユーザ名/パスワードでログインします。VxRailアプライアンス内にvCenter/PSCを配置している場合は[email protected]ユーザを利用して下さい。

ログインに成功すると以下のようなダッシュボードが表示されます。
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VxRail Managerは左側にメニューがあり、「ダッシュボード」「サポート」「イベント」「稼働状態」「構成」の5つが利用できます。いくつかの機能はインターネット接続が必要になります。

ダッシュボード メニュー

ダッシュボードでは以下の4つの情報が得られます。

  • システム全体の稼働状態
    アプライアンス全体のステータスが表示されます。ステータスは「正常」「エラー」「警告」「重大」の4段階で表示されます。「エラー」は状態変化が発生した、もしくはしていることを示し、「警告」だとそのままの状態だと安定稼働に支障が出るため何がしかのアクションが必要な状態(例えばディスクスペースの不足など)、そして「重大」はダウンタイムに繋がる即時対応が必要な状態(ディスクの破損など)を示しています。

 

  • VxRailコミュニティ
    EMCサポートコミュニティサイトのVxRailセクションの最新情報がリストアップされます。最近話題になっているスレッドが表示されるので、安定運用のための情報が得られます。

 

  • サポート
    サポート情報としては「最新のハートビート」「サポートとチャットする」「サービスリクエストを作成する」の3つが利用できます。「最新のハートビート」ではEMCのSecure Remote Services(ESRS)実装済みの場合に最後にESRSと通信した時刻が表示されます。「サポートとチャットする」はそのままですがEMCサポート窓口に対してチャットで質問(例えば電源断の方法など)するためのチャットセッションが開始されます。「サービスリクエストを作成する」では事象を伴うトラブル(ディスク故障など)を問い合わせることができます。

 

  • イベント履歴
    イベント履歴もそのままですが、最近発生したイベントが表示されます。

 

サポート メニュー

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サポートでは以下の7つの情報が得られます。

  • 最新のハートビート
  • サポートとチャットする
  • サービスリクエストを作成する
  • 送信した最新の構成情報を確認
    上記4つはダッシュボードと同じことが可能です。

 

  • ダウンロード
    EMCサポートのダウンロードサイトへのリンクです。

 

  • VxRailコミュニティ
    こちらもダッシュボードと同じことが可能です。

 

  • ナレッジベース
    EMCのナレッジベースを検索することが出来ます。

 

イベント メニュー

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イベントでは以下の2つの情報が得られます。エラー以上のイベントを検知した場合、イベントメニューのアイコン上に発生したイベント数が赤く表示されます。

  • システムイベント
    発生した全てのイベントがリストアップされます。イベントIDや重大度、対象コンポ―ネットを指定してリストアップすることも可能です。

 

  • イベントの詳細
    システムイベントのリスト上で任意の情報を選択すると、その詳細が表示されます。

 

稼働状態 メニュー

稼働状態には「論理」と「物理」の2つのタブがあります。それぞれ以下の情報が得られます。論理タブではリソースステータス(ストレージ, CPU, メモリの各リソースの負荷状況)を正常(緑)、注意(黄色, 75%~85%)、警告(赤, 85%以上)で色分けして状態を表示してくれます。

<論理タブ>
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管理しているアプライアンスのそれぞれのハードウェアIDが表示されます。標準状態では全てのアプライアンス全体の状態が表示されます。ハードウェアIDをクリックすると、それぞれのアプライアンスの状態が表示されます。

  • ストレージIOPS
    現在の負荷状況をパーセンテージで表示します。また、現時点のIOPS、最大のIOPSも表示されます。

 

  • CPU使用率
    現在の負荷状況をパーセンテージで表示します。また、アプライアンス全体で保有しているCPUリソース(クロック数, GHz)と、現時点での空きリソースも表示されます。

 

  • メモリ使用量
    現在の負荷状況をパーセンテージで表示します。また、アプライアンス全体で保有しているメモリリソース(GB)と、現時点での空きリソースも表示されます。
  • ストレージ情報
    Virtual SANとして構成されているストレージ容量が表示されます。全体容量が「容量」として表示されています。この容量は冗長性が考慮されていない所謂Raw容量です。各ゲストOSに割り当てられたストレージポリシーに従い消費します。
  • ESXiノード
    アプライアンスに搭載されいてるノードのハードウェアステータスが表示されます。容量ディスク(ハイブリッドの場合はHDD, オールフラッシュの場合はSSD)、キャッシュ用SSD、ESXiシステムブートディスク(SATADOM)、NICの各コンポーネントの状態が確認できます。各コンポーネントをクリックするとUUIDなどが表示されます。

<物理タブ>
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管理しているアプライアンスのそれぞれのハードウェアIDが表示されます。標準状態では全てのアプライアンスの物理的な状態が一覧で表示されます。ハードウェアIDをクリックすると、それぞれのアプライアンスの前面図、背面図が表示されます。エラーなどのイベントが発生しているコンポーネントがある場合は、該当コンポーネントにステータスアイコンが表示されます。また、コンポーネントをクリックするとそれぞれのコンポーネントが持っている詳細情報が表示され、交換作業のためのウィザードが表示されます。また、ノードコンポーネントをクリックすると、物理的な位置を示すLED(UID LED)を点灯/消灯させることができます。

構成 メニュー

構成には「機能」と「市場」、「全般」の3つのタブがあります。それぞれ以下の情報が得られます。

<機能>
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アプライアンスに既に実装済みの管理コンポ―ネント(バーチャルアプライアンス)が表示されます。標準状態ではVxRail Managerだけが表示されます。リモート保守用のESRSを追加すると追加で表示されます。

<市場>
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EMCが提供しているバーチャルアプライアンスをダウンロードするためのリンクの一覧です。2016年9月1日時点ではCloud Array(VxRailアプライアンスには1TBキャッシュのライセンスがバンドルされています)と、Data Domain(0.5TBまでのコミュニティサポートエディション, 別途ライセンス購入可能です)、RecoverPoint for Virtual Machines(VxRailアプライアンスには15個のゲストOSの保護ライセンスがバンドルされています)、vSphere Data Protectionのダウンロードリンクが存在しています。

<全般>
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  • サポートアカウントの設定
    インターネット経由で確認できるサポートの各種情報(ナレッジベースの検索やダウンロードなど)へのリンクに利用するEMCサポートサイトに登録しているユーザ自身のアカウント情報です。

 

  • ログコレクション
    VxRail Managerの最新のログ情報を取得します。トラブル対応時に必要になるログの1つです。

 

  • ESRS(EMCセキュア リモート サポート)の有効化
    EMCのリモートサポートシステムであるESRSの実装状態を示します。

 

  • ネットワーク環境設定の構成
    各種インターネット経由の機能を有効化(オンライン)もしくは無効化(オフライン)にします。

 

  • クラスター監視の抑制
    システム全体の状態監視を有効化/無効化します。メンテナンス等の作業時にステータス監視を無効化するときに利用します。

 

  • システム診断
    現在のシステム全体の状態をチェックすることができます。

 

  • クラスターのシャットダウン
    クラスター全体のシャットダウンを行うときに実行します。シャットダウンプロセスの前にシステム診断が行われ、正常状態でないとシャットダウンは実行できません。

 

  • 言語を選択
    VxRail Managerの表示を各種言語に切り替えられます。

以上がVxRail Managerの操作概要となります。ログインした時点でステータスが把握できますし、リソースとハードウェアのステータスも1クリックで確認できる究極的に簡単な管理ツールと思います。次回は管理の後半戦として、良くあるご質問にまとめてお答えしたいと思います。
VxRail ブログ ~ 全 6回 ~
#1…VxRail & VSAN Overview
#2…VxRail インストール
#3…VxRail の運用と管理:前編 VxRail Managerのご紹介
#4…VxRail の運用と管理:後編 運用についての良くあるご質問
#5…VxRail によるデータ管理の向上
#6…VxRail のサイジングと設定について