VMware Cloud on AWS クラウド

VMware Cloud on AWS サイジングの解説

VMware Cloud on AWS のサイジングは難しそうに思いがちですが、事前に必要な準備をしておけば簡単にサイジングできます。 
今回は、VMware Cloud on AWS のサイジングを行う前の準備について解説します 。

 

 

VMware Cloud on AWS のサイジングをする前に抑えておきたいこと 

VMware Cloud on AWS のサイジングには、 Web で提供される VMware Cloud Sizer  を使います。VMware Cloud on AWS のサイジングはクラウドだから難しいのではと思われがちですが、最も簡単な方法では、4つの情報を入力するのみでサイジング結果としてホスト数が導き出せます。オンプレのサイジングの際にはエクセルを使う事も多いのではないかと思いますが、VMware Cloud on AWS はストレージに VSAN を使っていることもあり、いろいろなオーバーヘッドや slack space が必要となりますので VMware Cloud Sizer を用いたサイジングを行ってください。

 

サイジングの流れを考える

サイジングを行うにあたって大きく5つのフェーズがあります。(図1)

現在の環境を把握するために仮想マシンの情報の収集を行い、仮想マシンが何に使用されているのかを理解し、仮想マシンの分類を行ったうえで移行対象を決定し、移行対象仮想マシンの仮想マシン情報を揃えてサイジングします。

サイジング結果によっては、再度仮想マシンの整理や分類をする場合もあるので、そのたび毎にそのフェーズに戻って検討し直します。

最後に見積もりですが、往々にして見積金額を見て再度サイジングし直すというケースも少なくありません。見積もり結果によっては再度移行対象を検討することもあります。

それでは、各サイジングのフェーズについて詳細に解説します。

 

a.仮想マシンの情報収集

VMware Cloud on AWS のホスト数を決定するために、移行対象の環境で稼働する仮想マシンの情報を収集する必要があります。最低限必要な情報は、移行対象の仮想マシン数、その仮想マシンの CPU 数、メモリ、ディスクサイズです。ディスクサイズは、割り当てられた容量または使用量が必要です。

これらの情報を収集する方法はいくつかありますが、代表的なものとして以下のものがあります。 (表1)

表1 リソース情報収集ツール

このほかに、お客様管理の仮想マシン一覧や vCenter から仮想マシンのリストをエクスポートして利用することもできます。正確な情報を得るためにライブな情報を取得できる vRealize Operations や LiveOptics の利用をお勧めします。

b.仮想マシンの整理

仮想マシンの一覧だけではわからないグループ、例えば、アプリケーション、データベース、ロードバランサなど仮想マシンの用途とそれらの関連性を確認します。(図2)例えば、システム A は APP と DB で構成されている。また、システム B は WEB、APP、DB で構成されているなどのシステム毎のグループを把握します。これによって、移行対象を関連する仮想マシンのグループで検討する際に役立ちます。

 

移行対象の仮想マシンを整理する
図2 移行対象の仮想マシンを整理する

 

 

c.仮想マシンの分類

仮想マシンの整理で役割やグループを把握しましたが、ここではそれらを VMware Cloud on AWS に移行するかどうかを分類します。移行の対象を決めるためには vSphere の機能による分類と仮想マシン単体ではなくシステムやグループによる分類によって検討します。vSphere 観点ではクラスタやネットワーク、VLAN などで分類し、システム観点では、システム単位、役割単位、VM 単位で分類します。 図2の例を挙げると、システム D を移行したいと考えている場合、同じ LB をシステム E  でも使用していることから、システム D だけではなくシステム E も一緒に移行する必要があることがわかります。

d.サイジング

移行する仮想マシンが決まったら、サイジングです。対象の仮想マシンが使用する CPU、メモリサイズ、ディスクサイズの合計値と仮想マシン数を用意します。現在のバージョンの VMware Cloud Sizer は、平均値、合計値のどちらを使ってもサイジング可能になっています。ディスクサイズは、仮想マシンの情報が取得できるならばディスク使用量を使う事をお勧めします。というのも、VMware Cloud on AWS はシンプロビジョニングが基本で、全ての容量の確保をしなくてもよいからです。仮想マシンの割り当てストレージ容量を用いるとノード数が増える事にもなります。

e.見積もり

サイジング結果が出たら、VMware パートナーまたは VMware の担当者にご連絡頂ければお見積もりをさせて頂きます。

 

 

サイジングをしてみる

サイジングを行う準備が整いましたので、実際に CPU、メモリサイズ、ディスクサイズの合計値と仮想マシン数を VMware Cloud Sizer に入力してサイジングしてみましょう。(図3)

 

Quick Sizer 入力画面
図3 Quick Sizer 入力画面

 

例として、移行対象仮想マシン数 100、CPU の合計コア数 280、合計メモリ数 800GB(746GiB)、ディスクサイズ 21474GB(20000GiB)を VMware Cloud Sizer に入力すると、図4のような結果が表示されます。この結果を見ると、ホストタイプが i3 の場合、4ホストで構成できる事を表しています。また、“Driven by Storage” の表示となっているのでストレージサイズによってホスト数が計算されたことを表します。この計算結果には、管理コンポーネントのリソースや Slack Space の容量も含まれています。

メモリとディスクサイズに関しては、単位が“GB(ギガバイト)”ではなく“GiB(ギビバイト)”となっていますのでご注意ください。

 

サイジング結果
図4 サイジング結果

 

 

まとめ

今回例を使ってご説明したように、VMware Cloud on AWS は、事前の準備を行うことで簡単にサイジングが行えます。

オンプレにある仮想マシンを全てクラウドに移行する場合はもちろん、一部を移行する場合にも整理、選別、サイジングを繰り返してより最適なホスト数を導き出せます。VMware Cloud Sizer には Quick Sizer だけではなくより詳細なパラメータが用意されています。

 

 

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