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VMware Virtual SAN 入門: 〜 従来のストレージと VSAN の違い〜

みなさまこんにちは!
VMware で VSAN を担当しているSEの小佐野 舞(Osano Mai)です。
先日vForumというイベントが開催されましたが、そこで VMware Virtual SAN (以下 VSAN)のセッションは立ち見がでるほど多くの方に興味を持っていただきました。そこでもっと多くのみなさまに私の VSAN 愛を伝えたく、この場をお借りして VSAN についてわかりやすくご紹介いたしますね。
VMware VSAN 入門:
1/4 〜 従来のストレージと VSAN の違い 〜
2/4 〜 信頼性と性能編 〜
3/4 〜 VSAN オンラインハンズオンラボをやってみよう 〜
4/4 〜 VSAN Ready Nodeとは〜

ストレージの復習

では、まず製品について語り始める前にストレージの復習をしていきたいと思います。
shared storage
ストレージというとデータをためる大きな箱、ディスクが何本も入っている箱、サーバのデータの保管場所であり、仮想化環境では仮想マシンの格納スペースとするためには欠かせないものです。
ストレージベンダーさんが提供する様々なストレージ機器は、見た目はもちろん異なりますが、組み込まれているハードウェアコンポーネント、内部のストレージ専用ソフトウェア(OS)の動き、操作方法、可用性の実現方法、パフォーマンスも製品によって異なります。
サーバのように汎用的ではなくストレージは専門性が高い機器、と言うことができると考えます。
vSphere 仮想化環境では複数のホストから同一の領域へアクセスすることにより仮想マシンの可搬性や可用性をより高めることができますので、共有ストレージをFC(ファイバチャネル)、iSCSI、NFS等の接続方式でホストに提供します。
従来のストレージはディスクをグループ化して可用性や耐障害性を高めるRAIDが主流で、例えばRAID5の場合、最低3本以上のディスクを1つのグループとしてデータとパリティから構成し、LUNを切り出します。ESXi サーバが使用する領域を切り出すストレージ作業フローを図にまとめてみました。

あらかじめRAIDグループを作成し、容量を決めてLUNを切り出し、サーバに見せるためのスイッチの設定をして、どのサーバに見せるかを決めて、LUN の数だけこれら作業をくりかえし、ようやく!ハイパーバイザからデバイスとして見えてきます。ここからさらにどのLUNがどれだっけと迷いながらもデータストアの追加をして、仮想マシン用のストレージプールができあがります。
ちょっと物理ストレージから仮想化に話をもどして。
最近、Software Defined 〜〜〜 という言葉をよく耳にされているのではないでしょうか。
サーバの仮想化はすでに一般化され、多くのお客様は物理からの仮想化への移行、またはどちらも並行して使用している環境が多いのでは、と思います。サーバ仮想化、ネットワーク仮想化が数年前から先行し、そしてストレージ仮想化です!
サーバ仮想化により日々進化する高性能なCPU、集積率の高いメモリを効率的に使用することができるようになりました。
ネットワークもサーバ仮想化が進む中、物理的な変更を最小限にして仮想化環境に最適な仮想ネットワークサービスのプロビジョニングを実現しています。
ストレージの仮想化技術は古くから様々な種類がありRAIDもそのひとつです。
現在、Software Defined Storage(SDS)というと、従来のような専用機器ではなく汎用的なサーバのディスクを使用したものがふえています。

VSAN は多くのお客様に使われはじめています!

そろそろ VSAN のことを話したくなってきたので、VMware のストレージ仮想化製品である VMware Virtual SAN はどのような製品であるか、説明していきます。
一言で表すと、『サーバ内蔵ディスクを共有ストレージとする、vSphere に完全に統合された機能』です。
vsan summry02
機能と書いている理由はカーネルに組み込まれている = ストレージ機能はハイパーバイザの一部だからです。
これは他社ストレージ仮想化製品にはなく、VMware Virtual SAN だけ!
サーバ仮想化はCPUやメモリを抽象化してプールとし仮想マシンそれぞれに割り当てますが、VSAN のストレージ仮想化は内蔵ディスクの抽象化を行いストレージプール=共有データストアを提供します。
2014年3月、vSphere 5.5u1 のリリース時に新機能として Virtual SAN が初めて登場しました。2015年3月、4年ぶりのメジャーアップデートとなる vSphere 6.0 と共に VSAN 6.0 を発表、ベースイメージの大幅な改良や様々な機能追加があり、9月には vSphere 6.0u1 / VSAN 6.1 が リリースされ、現在2500社以上のお客様にお使いいただいています。VSAN も日々進化しており、バージョンを重ねるたびに、さらに使いやすくなってます。
実際 VSAN はSaaSの基盤で使われたり、VDIで使われたり、小規模な環境で使われたり、と多岐にわたりますが、vSphere で仮想化された環境であればどんな仮想マシンでもだいじょうぶです!
VSAN には次のような特長があります。

フラッシュデバイスをフロントに配置することで高速化 — 内蔵ディスクが持つ “性能” を活用
サーバだけで完結します — 内蔵ディスクの “共有” と “データ保護” を実現
仮想マシン目線のストレージ運用管理 — RAID , LUN の概念が存在しないので “とてもシンプル
簡単導入—VSAN 用ネットワークを作って、VSAN の有効化、ポリシーで定義グループを作って、仮想マシンを作るだけの”4ステップ

従来のストレージと大きく違うのは、専用のストレージ機器いらず、専門的なストレージの知識いらず、で共有データストアが手に入ります。
実際に VSAN を体感したお客様に本当にこれだけでいいの?サーバ管理者にもできる!と驚かれることが多いです。

汎用的なハードウェアで VSAN を構成

VSAN はハイパーバイザの一部なので、まずサーバ本体、そしてキャッシュとして使用されるフラッシュデバイス、データ格納用に使用される磁気ディスクまたはフラッシュデバイスから構成されます。性能の異なるデバイスを2層式にすることでフラッシュデバイスの性能を活かしつつ、データは単価の安いデバイスへ保管、と両方の良いとこ取りをします。
vsan hw
フラッシュデバイスと磁気ディスクを組み合わせたハイブリッドモデル、フラッシュデバイスのみで構成するオールフラッシュモデルの2種類があります。最近流行のオールフラッシュストレージとしてもお使いいただけますよ。
ここまで VSAN の特長とハードウェア構成の概要をお話ししてきましたが、第2回はより詳細な VSAN のアーキテクチャに踏み込んでいきたいと思います!
vForum 2015 では実際に VSAN をお使いいただいたお客様の事例講演も複数あり、Solution Showcase VSAN ブースも大変にぎわい、いろいろな方とお話できて楽しい時間を過ごしました。お越しいただいた皆様には重ねてお礼申し上げます。ありがとうございます。
ではまた第2回でお会いしましょう!!
VMware VSAN 担当SE Osano Mai
osano
VMware VSAN 入門:
1/4 〜 従来のストレージと VSAN の違い 〜
2/4 〜 信頼性と性能編 〜
3/4 〜 VSAN オンラインハンズオンラボをやってみよう 〜
4/4 〜 VSAN Ready Nodeとは〜