VMware Cloud Foundation ネットワーク

VCF ネットワークと Infoblox とのシームレスな IPAM (DDI) 連携


このブログでは、 VMware Cloud Foundation® 9 (VCF 9) 環境において IP アドレス運用を効率化する手法についてご紹介します。本内容は、弊社本国の英字ブログ記事の内容を踏まえつつ、メリットや動作について解説を加えております。ぜひ、そちらの記事にもお立ち寄りください。

さて、エンタープライズのクラウドインフラストラクチャにおいて、仮想マシンの展開が迅速化される一方で、ネットワークの払い出しや IP アドレス・ DNS の管理といった周辺タスクがボトルネックになるケースは少なくありません。 VCF 環境において、サードパーティの IPAM ( IP アドレス管理)ソリューションである Infoblox Network Identity Operating System(NIOS) DDI と連携することは、この課題に対応する有効なアプローチの一つです。

本記事では、 VCF と Infoblox NIOS DDI の連携によって実現される主な機能とその仕組み、そしてインフラ運用にもたらすメリットについて解説します。

連携の目的と主な導入メリット

VCF と Infoblox を連携させる主な目的は、 IP アドレスと DNS のライフサイクル管理の自動化です。手動での IP アドレスの払い出しや DNS レコードの登録作業を削減することで、以下のようなメリットをもたらします。

連携によって得られる3つのメリット

  • ① IP 情報の「信頼できる唯一の情報源( SSOT )」の確立

    VCF の仮想ネットワーク環境と、既存の物理ネットワーク全体にわたり、 IP アドレス情報の管理を Infoblox NIOS DDI に一元化します。これにより、 IP の重複や不整合の防止に役立ちます。

  • ② テナントの自律性とセルフサービス化

    VCF Automation を利用するテナントユーザーは、 vCenter やネットワークの管理者に都度作業を依頼することなく、自身のタイミングでサブネットの確保や VM の展開、 DNS の登録・削除をセルフサービスで実行できるようになります。

  • ③ 透過的なプロセスによる運用負荷の削減

    Infoblox NIOS DDI の IPAM レコードはバックグラウンドで自動的に更新されるため、インフラ管理者の日常的な手動更新タスクが削減されます。

機能解説1:テナントセグメントの自動作成とサブネット払い出し

最初の主要な機能は、テナントネットワーク(セグメント)を構築する際の自動的な IP ブロックの割り当てです。従来は、ネットワーク管理者が空きサブネットを探してテナントに割り当てる必要がありましたが、連携環境ではこれが自動化されます。

STEP 1

セグメント作成の開始

VCF Automation などのポータルから、テナントユーザーが新規の論理ネットワークセグメントの作成を要求します。

STEP 2

サイズの指定

テナントはネットワークの用途に合わせて、必要なアドレスプールサイズ(例:/24 など)を指定します。

STEP 3

IP ブロックの動的確保(自動化)

ここで Infoblox NIOS DDI 連携が機能します。 Infoblox NIOS DDI 上で事前に定義された「ネットワークコンテナ(例: 40.70.0.0/20)」の中から、指定されたサイズのサブネット(例: 40.70.1.0/24)が切り出され、 VCF 側の外部 IP アドレスブロックとして動的にマッピングされます。

STEP 4

払い出し完了

VCF 上のテナントセグメントに対して CIDR ブロックが正式に割り当てられ、バックグラウンドでワークロード展開の準備が整います。

機能解説2:VM の展開と DNS ホストレコードの自動登録

ネットワークの準備が整った後、仮想マシン(VM)を展開する際にも Infoblox NIOS DDI との連携が行われます。 VM のデプロイ時に DNS の設定も自動的に行われるため、展開後から FQDN でのアクセスが容易になります。

STEP 1

VM の作成

準備されたテナントセグメント上で、仮想マシンの展開プロセスを開始します。

STEP 2

アドレスの自動アサイン

確保された Infoblox NIOS DDI のサブネット(外部 IP アドレスブロック)から、展開される VM に対して IP アドレスが動的に払い出され、自動的にアサインされます。

STEP 3

DNS 自動登録

OS の初期化プロセスである Cloud-Init (Linux の場合)や Sysprep (Windows の場合)を利用して、割り当てられた IP アドレスと FQDN (例:vm1.corp.com)の紐付け情報が Infoblox NIOS DDI に自動的に送信されます。これにより、 A レコードが動的に登録されます。
VM が削除された際にも同様に連携が働き、使用していた IP アドレスの解放と DNS レコードの削除が動的に行われます。

また、割り当てた FQDN でデプロイした仮想マシンにアクセスする際には、VCF Automation の GUI から FQDN を確認しアクセスしていくことができるようになります。以下は、これまでの手順でデプロイしたVMに対して、FQDNを確認し、Webアクセスを試みるところの一連の動作を動画デモになります。

設定概要:連携を実現するための主なステップ

VCF と Infoblox NIOS DDI のシームレスな自動連携を実現するためには、事前に両システム間でのAPI連携や IP アドレスブロック定義を行います。主な設定手順の全体像は以下の通りです。実際の連携構成としては、Infoblox NIOS DDI と VMware NSX® Manager が直接のAPI連携を行い、NSX Manager の IPAM 機能と Infoblox NIOS DDI が連携する動作となります。VCF Automation などのポータルから、仮想マシンの払い出しには NSX Manager の IPAM 機能によってIPアドレスの管理が行えわれ、NSX Manager の IPAM の処理に Infoblox NIOS DDI が連携することで、IPアドレスとAレコードの管理が自動されます。

STEP 1

Infoblox NIOS DDI の事前準備(API 連携ユーザー・ネットワークコンテナの作成)

Infoblox NIOS DDIに NSX からの API 連携するためののユーザーアカウントと権限を設定します。また、切り出し元となる IP アドレスブロック(ネットワークコンテナ)や DNS ゾーンをあらかじめ定義しておきます。
(例: 30.70.0.0/20,40.70.0.0/20

STEP 2

Infoblox NIOS DDI の NSX への登録

NSX Manager の管理画面から Infoblox への連携を行います。
FQDN や認証情報を入力してエンドポイントを作成し、双方向の連携を確立させます。

STEP 3

IPAM 設定とVCF Automation への外部アドレスブロック登録

Infoblox から取得したネットワーク情報や IP アドレスブロックが、NSX 上の 外部 IP アドレスブロックとして登録されます。
(例: 30.70.0.0/20,40.70.0.0/20

次に、VCF Automation で 外部 IP アドレスブロックとして Infoblox NIOS DDI の外部 IP アドレスブロックを登録し、ユーザがセルフサービスでIPアドレスが利用できるようにします。(例: 40.70.0.0/20

 

 

まとめ:連携による全体最適化

今回の一連の動作を振り返りながら、この連携による運用効果を以下の図解を通して整理してみたいと思います。

いかがだったでしょうか。これまでの仮想基盤の利用体系と比較して、利用申請から利用開始までに提供される内容とそこまでの自動化が非常に効率化されたことにお気づきになられたのではないかと思います。

このようなVCF と Infoblox の連携は、インフラストラクチャの運用プロセスを最適化する上で以下のような点で非常に効果を発揮します。

  • SSOT ( Single Source of Truth )の実現により、仮想・物理を問わずネットワークの管理が一元化
  • 透過的な自動化プロセスにより、手動作業によるミスが減り、プロビジョニングのスピード向上
  • テナントの自律性が確保されることで、インフラチームは承認や設定代行のタスクから離れ、他の業務により集中できるように

クラウドインフラを効率的に提供・運用するためには、 IPAM と DNS の自動化は重要な要素となります。ぜひ、 VCF 環境におけるネットワーク運用の改善の一手としてご検討ください。

再掲になりますが、本内容は、弊社本国の英字ブログ記事の内容を踏まえつつ、メリットや動作について解説を加えております。ぜひ、そちらの記事にもお立ち寄りください。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

※ Microsoft、Windows、Windows Server は、米国 Microsoft Corporation の 米国およびその他の国における登録商標または商標です。 Windows の正式名称は、Microsoft Windows Operating System です。
※ Infoblox Network Identity Operating System(NIOS)並びに INFOBLOXは、Infoblox Inc.またはその関連会社の米国およびその他の国における登録商標です。