前回、ブロックチェーンEXPO の出展報告をレポートさせていただきましたが、展示ブースでは「VMware Blockchain for Ethereum」のベータプログラムをご案内しておりました。
※ ベータプログラムの詳細はこちらのブログ記事(英語)も参照ください。
ベータプログラムにはどなたでも参加可能で、参加することでVMware Blockchain for Ethereum の Developer Kit を利用できます。
この Developer Kit では、ローカルマシン上に VMware Blockchain のネットワークを簡単に構築できるようになっており、その上で Solidity 言語を用いた DApps 開発をお試しいただけるようになっています。
VMware Blockchain for Ethereum は、イーサリアムと互換性のあるプライベートネットワークになっているため、NFT や DAO などイーサリアムが前提となっているユースケースを「ガス代不要」で実装可能なことが特長です。
今回は、最近リリースされた VMware Blockchain for Ethereum の最新バージョン「Beta 1」のアップデート情報と共に、ベータ版の始め方やどのようなことを実際に試せるのかをご紹介したいと思います。
※ VMware Blockchain の製品情報についてはこちらから
https://www.vmware.com/jp/products/blockchain.html
VMware Blockchain for Ethereum Beta 1 のアップデート情報
今年 8 月に始まったベータプログラムですが、11 月に最新バージョンの Beta 1 がリリースされました。以下に主要なアップデート情報を記載しています。
- デプロイ方法の変更
- Helm Chartのデプロイ方式に対応しました。これにより、ローカルの Kubernetes 等に簡単にインストールが行えるようになりました。
- プライバシー機能の追加
- ブロックチェーンは取引の透明性があることが特長ではありますが、エンタープライズ用途においては、「トークンを非公開で相互に送信したい」ケースも出てきます。このようなトランザクションを UnTraceable Transactions (UTT) と呼びます。
- この UTT は、実装にあたりゼロ知識証明など高度な技術を用いて、プライベートトークンを転送する必要があるのですが、これを VMware Blockchain が抽象化して簡単に実装するための SDK が搭載されました。
- パーミッショニング機能の追加
- プライベート型(パーミッションド:許可型)のブロックチェーンにおいては、ネットワークに参加するための権限や、ネットワーク内でどのような操作を可能にするか等、アカウントに対してある程度ガバナンスを効かせる必要があります。
- Beta 1 では、ブロックチェーンにアクセスするアカウントの権限を制御できる機能が搭載されました。
その他、詳しい情報はこちらのブログ記事(英語)もご参照ください。
ベータプログラムの始め方
上記ブログ記事の一番下にある「Get Started with VMware Blockchain for Ethereum Beta」に記載されているように、ご利用にあたっては、こちらのフォーム(英語)から参加申請が可能になっています。
申請後、利用方法の案内メールと Adobe Sign の依頼メールが届きますので、Web 上で利用許諾にサインしていただく形になります。
ベータ版でできること
ベータ版のインストール方法については、次回のこちらのブログにて概要をご紹介させていただく予定です。
インストール後は、ローカルマシン上に VMware Blockchain for Ethereum のプライベートネットワークが構築されますので、後はイーサリアムのエコシステムである Remix (ブラウザ上のスマートコントラクト開発環境)等を使って DApps 開発をしたり、MetaMask(ウォレットサービス)から接続してスマートコントラクトのデプロイやトークンの管理が行えます。
全体の利用イメージは以下の図のような形になります。
サンプルアプリケーションの実行イメージ
ベータ版では、自由に DApps 開発をお試しいただけるだけでなく、以下 2 つのサンプルアプリが標準で提供されておりますので、一から開発をしなくてもイーサリアムベースのアプリケーションの実行イメージを検証できるようになっています。
- ERC-20 トークン交換
- NFT プラットフォーム
ERC-20 トークン交換
こちらは分散型取引所 (DEX:Decentralized Exchanges) をイメージしたサンプルアプリになっており、2 種類のトークンが格納された流動性プールを扱って、ユーザ間でのトークン送信や、異なるトークンへの相互交換などを実行するスマートコントラクトが実装されています。
NFT プラットフォーム
こちらは NFT プラットフォームをイメージしたサンプルアプリです。
NFT(Non-Fungible Token:非代替トークン)はデジタルデータをトークン化して一意のアイテムとして扱う仕組みのことで、実際にデータを NFT アイテムとして登録したり、他のアカウントに転送したりすることで、NFT アイテムの売買を行うマーケットの実行イメージが確認できます。
ブロックチェーンを可視化する GUI
サンプルアプリを実行した際、実際にブロックチェーン上にどのようにトランザクションが書き込みがされているのか、期待した通り動作しているのかを視覚的に確認したいケースがあると思います。
ベータ版では、ブロックチェーンを可視化する GUI として以下 2 つの Block Explorer が標準で使えるようになっています。
- VMware Blockchain Explorer
- Sirato Blockchain Explorer
VMware Blockchain Explorer
VMware が作成した GUI 機能です。ブロックとトランザクションを可視化し、送信元・送信先・ハッシュ値などを確認できるようになっています。
Sirato Blockchain Explorer
こちらはイーサリアムのエコシステムとして利用されている、Web3 Labs 社の GUIです。
トランザクションだけでなくトークンの管理が可能なことが特長となっており、例えば、上記サンプルアプリ(ERC-20)で発行された2種類のトークンがどのようにやり取りされたかを確認することが可能です。
最後に
今回は、VMware Blockchain for Ethereum の最新アップデート情報と、ベータ版の利用イメージについてご紹介させていただきました。
ブロックチェーンや NFT などの活用方法について興味があるものの、なかなか実際に動くものを試すことに敷居が高く感じていらっしゃる方も多いと思います。
ベータ版を利用することで、簡単に環境を構築して、イーサリアムと同じアーキテクチャで様々な DApps をお試しいただけますので、学習用や検証用など様々な用途でのご利用を検討いただけますと幸いです。
また、別途シリーズとしてお送りしている「ユースケースから理解するブロックチェーン」の次の回では、今回サンプルアプリとしてもご紹介した NFT やトークンの話題を取り上げてご紹介させていただく予定です。