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VMware Blockchain Emerging technology

ユースケースから理解するブロックチェーン(第一回)

はじめに

最近何かと話題になっているブロックチェーンですが、どこか概念的で理解が難しかったり、ブロックチェーンを使うことで何が嬉しいのか、どういったことに活用されるのかイメージが湧きづらい技術のひとつでもあると思います。この記事では、ブロックチェーン周りを具体的なユースケース等を交えながら「やさしく理解する」シリーズとして、何回かに分けて連載できればと考えています。

今回はブロックチェーンの基礎部分と、なぜ VMware がブロックチェーンを言い始めたのか、関連性は何なのかにフォーカスして記載しています。

 

身近なブロックチェーン

ブロックチェーンと聞くと、おそらく大部分の方はビットコイン等の仮想通貨をイメージするのではないでしょうか。確かに仮想通貨はブロックチェーンの一番最初のユースケースですが、仮想通貨だけがブロックチェーンの活用方法というわけではなくもっと大きな可能性を秘めています。

ブロックチェーンの関連ワードとして「 NFT 」を耳にすることも増えました。NFT ( Non-Fungible Token :非代替性トークン)は、ブロックチェーンの特長を活かした技術のひとつです。デジタルデータに対して、それが「世界で一つだけのモノ」であるというオリジナル(唯一性)の価値を付与することができるため、デジタルアートやゲーム内アイテム、SNS のアバター、電子チケットなど、あらゆるモノに活用範囲が広がっています。

さらには、今後発展が期待されているインターネット上の仮想現実空間「メタバース」において、仮想空間でデジタルデータのやり取りを実現するための重要な技術要素として考えられています。

仮想通貨のイメージから、なんとなく危なげな技術と捉えられることも少なくありませんが、例えば米国では直近 3月 9日に署名された大統領令で、昨今のデジタル資産市場の急速な成長に後押しされるように「ブロックチェーンを活用したデジタル資産の技術的進歩を研究・支援するために民間企業と連携していく方針」が打ち出されたことで、今後この流れが世界・日本にも広がっていくことが期待されています。

これまでのビジネス形態や社会構造を一変させる可能性があるため、多くの企業が技術研究や新規ビジネスへの展開を検討しています。

 

ブロックチェーンを一言でいうと

「いつ」、「誰が」、「何をしたのか」を台帳(ブロック)に記録して共有する仕組みのことです。
このブロックを鎖(チェーン)のように数珠繋ぎしていくため、ブロックチェーンと呼ばれています。

ブロックチェーンとは

台帳というとデータベースのようなものをイメージするかと思いますが、ブロックチェーンの大きな特長は「集約型」ではなく「分散型」であるという点です。ひとりの管理者が管理するひとつの大きなデータベースを各社で使うのではなく、ブロックチェーン参加者間で同じ台帳を全員が持つことにより中央集権的な存在がいない形態を分散型であれば実現できます。分散型であれば、ひとつのノードがダウンしても他の参加しているノードに同じ台帳があるためシステム全体がダウンすることがありません(耐障害性)。

また、過去の情報が全てチェーン上に記録されるため、遡って「誰が」「何をしたか」確認することが容易なこと(トレーサビリティ)、誰かがデータを書き換えようとしてもチェーンに一度書き込まれたデータは改ざんできないよう保護されていること(改ざん防止)が特長です。

 

ブロックチェーンは何が嬉しいのか?

上記のブロックチェーンの特長からメリットをまとめると、以下のような4つの点があります。

  • 業務効率化

    • これまで何らかの約束事や契約に伴って実行していた処理を自動化・効率化する
      (ブロックチェーン上で自動的に動作する「スマートコントラクト」による実現)
      ※スマートコントラクトについては、こちらの記事も参考ください。

  • コスト削減

    • 分散台帳・分散処理により低コストなシステム構築・運用が可能になる
      (中央管理型ではなく、ネットワーク参加者間でのエコシステムによる実現)

  • リスク低減

    • チェーンによる強固な改ざん防止が可能
      (一方向のハッシュ値をチェーンにつなげていくため、改ざんが容易に検知可能)

    • 取引記録を全て残せるため、追跡可能性(トレーサビリティ)が高い
      (従来のシステムではログやバックアップ等は「残したいものを残す」運用)

  • 信頼性向上

    • 分散処理・データ共有により、特定の誰かがコストを負担せずとも耐障害性を実現できる
      (中央管理型でも実現可能だがコストが掛かる)

 

ブロックチェーンのビジネスモデルパターン

ブロックチェーンのメリットをエンタープライズ向けに活用するため、様々なビジネスモデルが検討されています。ビジネスモデルは以下のような3つのパターンに分類できると考えています。

ブロックチェーンのビジネスモデルパターン

  • トラストレス

    • 非中央集権化により管理者不在でも信頼性を担保する仕組みを構築
    • スマートコントラクトによる自動化で契約・押印等の作業を効率化
  • 共有・可視化

    • ブロックチェーン上に情報を記録し、必要に応じて取得可能にする
    • トレーサビリティ(追跡可能性)の提供と、改ざん不可によるセキュリティ担保
  • プラットフォーム

    • ブロックチェーン上のデータに価値をつけ、ユーザー間でトークンによる売買を行う( NFT など)

これらのビジネスモデルをベースに、すでに海外では各業種・業界別にいくつかプロジェクトが進行しています。これらのユースケースを次回以降に掘り下げていきます。

 

なぜ VMware がブロックチェーン?

ここまで読んでいただいた方は、なぜ VMware がブロックチェーンのことを言い始めたのか?これまでの VMware のイメージからすると、どのような関わりがあるのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

VMware はこれまで仮想化技術を武器に、ハードウェアやネットワーク、ストレージなど様々なレイヤーを抽象化することでシンプルかつ使いやすい基盤を作るご支援をしてきました。ここ数年は、こういったインフラ基盤だけでなく、さらにレイヤーを1段階上げて「 VMware Tanzu 」に代表されるアプリケーションプラットフォームの提供を開始しています。

ブロックチェーンもこの流れで新しくスポットライトを当てている領域になります。ブロックチェーン自体は便利なものですが、実際にブロックチェーンを動かすためには当然ながら上で動くアプリケーションが必要になります。

このブロックチェーン用のアプリケーションを開発し、動かすためのプラットフォームが「 VMware Blockchain 」です。

 

ブロックチェーンのアプリケーションを動かすために必要な要素

ブロックチェーンを動かすために必要な要素の全体像を以下に示しています。細かい技術的な要素は別記事でこれから解説をしていく予定ですが、このようにこれまでのインフラとは違った観点で設計・展開をしていく必要があり、場合によっては異なる製品を組み合わせて実現することになる可能性もあります。

ブロックチェーンのアプリケーションを動かすために必要な要素

  1. 分散アプリケーション( DApp )

    • ブロックチェーンネットワーク上で動作する分散アプリケーション
    • DAML 等のスマートコントラクト言語を利用
  2. スマートコントラクトエンジン

    • 条件に従って処理を自動実行するスマートコントラクトのランタイムエンジン(DAML 等)
  3. 合意形成(コンセンサス)エンジン

    • ノード間で合意形成を取り、分散台帳に書き込む際のアルゴリズムを実装するエンジン
  4. 分散システム向けプロトコル( BFT )

    • レプリカノード間の通信方法
    • 障害、遅延、悪意あるノード間でも適切に同期する仕組み
  5. レプリカノード

    • 分散台帳( DLT )の保存場所。複数ノード間で相互通信する

VMware Blockchain では、これらブロックチェーンのアプリケーションを展開するために必要な基盤(プラットフォーム)をフルスタックでご提供可能です。

 

次回

次回は、今回ご紹介したビジネスモデルのパターン別に実際のユースケースを業種別にいくつかご紹介し、ブロックチェーンをビジネスに活用する上でのメリットの理解をより深めていただければと考えています。