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仮想スイッチのお作法~Network I/O Control#6~

6回目:仮想スイッチのお作法#6    (Network I/O Control#6)

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#1…仮想スイッチのお作法#1
#2…仮想スイッチのお作法#2
#3…vSphere 6. 5の分散スイッチの機能とアーキテクチャ#3
#4…分散スイッチの管理①#4
#5…分散スイッチの管理②#5
#6…Network I/O Control#6

日本ヒューレット・パッカード株式会社の中川明美です。

6回目は、分散スイッチが提供する「vSphere Network I/O Control バージョン3」についてご紹介します。「Network I/O Control」は、複数の種類のトラフィックが共通のリソースを使用する場合に、競合する問題を解決します。

サーバーの最新モデルによっては、10Gbpsの物理NICを16個まで搭載することができるようになりました。16個もあれば、10Gbpsの物理NICを必要なトラフィックで占有できそうですね。参考までに、vSphere 6.5の10Gbps物理NICの最大構成数は、Intel製は16個、QLogic製またはEmulex製は8個です。

数年前までは10Gbps物理NICは2個が大半で、物理NICを共有する複数の種類のトラフィックをどのようにコントロールするかは設計者の腕の見せ所だったのではないかと思います。

また、Network I/O Controlバージョン2をお使いの方で、物理NICのコントロールはNetwork I/O Controlを、仮想NICのコントロール (制限) はトラフィックシェーピングを使用されていた方もいらっしゃったのではないかと思います。

バージョン3では物理NICおよび仮想NICのリソースコントロール機能を提供しています。ぜひこの機会に、Network I/O Control バージョン3の使いどころを知っていただけたら幸いです。

 

 

◆vSphere Network I/O Control バージョン2とバージョン3

vSphere 6.0から提供されたNetwork I/O Control バージョン3では、vSphere 5.5までのバージョン2にいくつかの機能を追加しています。バージョン2と3の違いを確認します。

 

<バージョン2>

バージョン2では、たとえば仮想マシンのネットワークトラフィックで、物理NICを対象に異なるコントロールを行いたい場合、ユーザー定義のネットワークリソースプールを使用します。

新規ネットワークリソースプールで、「制限」「シェア値」「CoS優先順位タグ」を指定します。作成したネットワークリソースプールを分散ポートグループに割り当てます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<バージョン3>

バージョン3では、仮想マシンのネットワークトラフィックで、物理NICを対象にコントロールを行いたい場合は「仮想マシンシステムトラフィック」を、仮想NICを対象にする場合は「ネットワークリソースプール」または「仮想マシンの設定」を使用します。

ネットワークリソースプールを作成する前に、仮想マシンシステムトラフィックでバンド幅の予約設定が必要です。

 

◆システムトラフィックのバンド幅割り当て

システムトラフィックには、事前に定義された9つのトラフィックタイプがあります。

物理NICを対象に、「シェア」「予約」「制限」の設定値を使用して、各システムトラフィックにバンド幅を割り当てます。バージョン3から、設定値に「予約」が追加されました。

設定値 説明
シェア 同じ物理NICを使用するシステムトラフィックタイプの優先順位の相対的な比率です。低/標準/高/カスタム (1から100) を指定します。

たとえば、FTとiSCSIに100、それ以外には50のシェア値が設定され、対象の物理NICはFT/iSCSI/vMotion用に使用されているとします。

ある時点でFTとiSCSIの2つのトラフィックが物理NICの帯域を超えたら、各トラフィックは物理アダプタのバンド幅の50%を使用します。

ある時点で3つのトラフィックが物理NICの帯域を超えたら、FTとiSCSIに物理アダプタのバンド幅の40%、vMotionに物理アダプタのバンド幅の20%が使用されます。

予約 1個の物理NIC上で確保が必要な最小バンド幅 (Mbps) です。

すべてのシステムトラフィックタイプで予約される合計バンド幅は、物理NICのバンド幅の75%を超えることはできません。

制限 1個の物理アダプタでシステムトラフィックタイプが使用できる最大バンド幅 (MbpsまたはGbit/s) です。

 

下図は、vMotionトラフィックの設定の編集画面です。この分散スイッチには1Gbpsの物理NICが割り当てられています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<10Gbps物理NIC上のシステムトラフィックのバンド幅予約例>

たとえば、次の予約設定によって、1つの物理NICを対象に、仮想マシン用の0.5Gbpsのバンド幅を確保できたことになります。

 

◆仮想マシントラフィックのバンド幅割り当て

仮想マシンを対象に異なるコントロールを行いたい場合には、「ネットワークリソースプール」を使用する方法と、仮想マシンの設定の編集で設定する方法の2つがあります。

設定値 説明
シェア 仮想マシントラフィックをネットワークに転送する物理NICのキャパシティに応じ、この仮想マシンの仮想NICを通過するトラフィックの優先順位の相対的な比率です。低/標準/高/カスタム (1から100) を指定します。
予約 仮想マシンの仮想NICが物理NIC上で受け取る必要がある、最小バンド幅(MbpsまたはGbit/s) です。

ネットワークリソースプールは予約 (Mbps) のみの設定です。

制限 同じESXiホストまたは別のESXiホストに配置されている他の仮想マシンへのトラフィックに使用できる、仮想マシンの仮想NIC上の最大バンド幅(MbpsまたはGbit/s) です。

 

 

<ネットワークリソースプール>

ネットワークリソースプールのバンド幅割り当ては、そのプールに関連付けられている分散ポートグループ間で共有されます。仮想マシンには、その仮想マシンが接続されている分散ポートグループを介して、ネットワークリソースプールからバンド幅が割り当てられます。

デフォルトでは、分散スイッチ上の分散ポートグループは、割り当てが構成されていない「デフォルト」と呼ばれるネットワークリソースプールに割り当てられています。

 

下図を例にすると、分散ポートグループAに接続される仮想マシンに割り当てられるバンド幅の合計が最小2Gbps確保 (保証) されます。

先に述べたように、ネットワークリソースプールを使用するには、仮想マシンシステムトラフィックで予約の設定をします。

下図は、仮想マシンシステムトラフィックの設定の編集画面です。物理NICのバンド幅の75%を超えない値を設定します。

 

下図は、新規ネットワークリソースプールの画面です。ここで予約値 (最小バンド幅) を設定します。最大割り当て値は、仮想マシントラフィックで設定した予約値×アップリンク (物理NIC) の数です。このアップリンク数は分散スイッチで設定した値です。

 

 

下図は、分散ポートグループの設定の編集画面です。ここで作成したネットワークリソースプールを割り当てます。

<仮想マシン>

各仮想マシンのバンド幅割り当ては、仮想マシンの設定の編集で行います。

「制限」と「予約」は、仮想NICが接続されている分散ポートグループのトラフィックシェーピングポリシーにも依存します。たとえば、トラフィックシェーピングポリシーで平均バンド幅を100Mbpsに設定したなら、仮想マシンの仮想NICの予約値によって仮想マシンが200Mbpsを要求したとしても、実際のバンド幅は100Mbpsになります。

下図は、仮想マシンの設定の編集画面です。ネットワークアダプタを分散ポートグループへ変更し、「シェア」「予約」「制限」を設定します。

 

◆仮想マシンバンド幅のアドミッションコントロール

仮想マシンに十分なバンド幅を確実に割り当てられるようにするため、バンド幅予約とチーミングポリシーにしたがい、ESXiホストおよびクラスタレベルでアドミッションコントロールを実装します。

仮想マシンをパワーオンすると、分散スイッチのNetwork I/O Control機能が、ESXiホストで次の条件が満たされることを確認します。

  • ESXiホスト上の物理NICが、チーミングポリシーと予約に従って、仮想NICに最小限のバンド幅を提供できる
  • 仮想NIC用の予約が、ネットワークリソースプール内の空き割り当て量より小さい

 

<vSphere DRSのバンド幅のアドミッションコントロール>

DRSクラスタ内の仮想マシンをパワーオンすると、vSphere DRSはアクティブなチーミングポリシーに従って、その仮想マシン用に予約されたバンド幅が確保されるキャパシティを持つESXiホストに、その仮想マシンを配置します。下図は極端な例です。

<vSphere HAのバンド幅のアドミッションコントロール>

HAクラスタ内のESXiホストでエラーが発生するかホストが隔離されると、vSphere HAはバンド幅予約とチーミングポリシーに基づき、HAクラスタ内の別のESXiホスト上で仮想マシンをパワーオンします。

 

 

◆まとめ

仮想マシン上のアプリケーションによっては、ネットワークリソースが競合した場合により多くのリソースを割り当てたい、最小限のバンド幅を割り当てたい等のご要望はあると思います。

Network I/O Control バージョン3であれば、これらの要望を仮想NICレベルで満たすことができます。CPUやメモリと同様のコントロール方法ですから、取り組みやすいと思います。予約は仮想マシンがパワーオンできない要因になりますから、その点は注意が必要です。

今回で分散スイッチの投稿は終了です。今後はNSXのご紹介を予定しています。ネットワークは詳しくないと思われているサーバー管理者の方がNSXを検討するなら、を前提に進めたいと考えています。引き続きよろしくお願いします。