今回は、vSphere のバージョン5.1 より導入されているバックアップとリカバリソリューションvSphere Data Protection Advanced(VDPA) に焦点を当て、先日発表されましたバージョン5.5 で追加された新機能・特徴の概要をご紹介します。
VDPA は、先日ご紹介させていただいたおりますVDP を機能拡張させたバックアップソリューションになります。VDP は、vSphere Essential Plus および上位エディションにバンドルされておりますが、VDPA はバックアップ対象の仮想マシンをホストしているCPU 単位のライセンス購入が必要となります。
ライセンスの追加や割り当ては、”構成”タブより実施します。

(2) アプライアンスあたりのサポートされる保護対象仮想マシン数の上限数は、VDP 100 VMs, VDP Advanced 400 VMs
1. バックアップ データ レプリケーション
2. Microsoft SharePoint 対応エージェント
3. EMC Data Domain システムへのバックアップ
4. 自動バックアップ検証機能
それぞれの機能について見ていきましょう。
1. バックアップ データ レプリケーション
VDP 5.5 では、レプリケーション機能が新たに追加されましたが、送信先としてEMC Avamar のみをサポートしております。VDPA 5.5では、EMC Avamarだけではなく、VDPAも送信先として利用いただけるようになります。
VDPA へのレプリケーションジョブは、”レプリケーション”タブで作成します。レプリケーションジョブは、バックアップジョブに含まれるクライアント(仮想マシン)すべてもしくは、個々に選択することが可能です。
VDPA 5.5 では、5.1 で提供していたExchange やSQL エージェントに加え、SharePoint のエージェントも追加されました。
各アプリケーションのエージェントは、”構成”タブよりダウンロードが可能になっており、アプリケーションを実行する仮想マシンにインストールします。
アプリケーションのバックアップジョブは、イメージバックアップ同様に”バックアップ”タブから、”新しいバックアップジョブの作成”ウィザードを利用します。
VDPA 5.5 では、バックアップデータを仮想ディスクファイル(vmdk) だけではなく、EMC Data Domain システムへ保存することが可能になりました。Data Domain と連携させることで、VDPA にさらなるスケールとパフォーマンスを提供します。
VDPA からData Domain へのバックアップデータの転送効率を最大化するためにDD Boost を利用することが可能です。また、バックアップデータは、Data Domain アプライアンス内でグローバルに重複排除されるため、VDPA が複数あるような環境では、非常に有効です。

https://<VDPA のIP アドレス もしくは ホスト名>:8543/vdp-configure/
取得されたバックアップデータが有効なものか、本当にリストアが必要になる前に確認しておくことは、RPO やRTO の観点で非常に重要になります。
VDPA 5.5 では、取得されたバックアップデータが有効かを、自動的に検証する機能を提供しております。
デフォルトでは、ゲストOS とのハートビートが検証のために使用され、オプションでゲストOS 上に配置されたスクリプトを実行させることが可能です。
この機能を利用するためには、仮想マシンに最新バージョンのVMware Tools がインストールされていることが必要になります。
バックアップ検証ジョブは、”リストア”タブの”バックアップ検証”より作成します。
1. テンポラリの検証用仮想マシンが作成され、バックアップデータがリストアされます。
2. リストアされた仮想マシンが起動されます。起動前に仮想マシンのNIC は無効化されています。
3. OS 起動後、VMware Tools とのハートビートが検証されます。
4. オプションでスクリプトの実行が検証されます。
5. テンポラリで作成された検証用仮想マシンの電源がOFF され、削除されます。
自動バックアップ検証の結果は、vCenter の”タスク”や”イベント”、VDP プラグインの ”レポート”タブ、Email レポートなどで確認可能です。
VDP Advanced は、VDP からのアップグレードが可能であり、お客様の環境に応じた導入が可能になっております。中規模程度のvSphere 環境に理想的なバックアップおよび、リカバリソリューションを提供します。