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VMware と Nicira: Software-Defined Datacenter への進化を目指して

7月23日、VMware は Nicira 社を買収することを発表しました。Nicira 社は設立 5 年の企業で、Software-Defined Network(SDN) のパイオニアであり、異種混在のインフラストラクチャ環境およびクラウドにおけるネットワーク仮想化のリーダー企業です。Nicira 社の優れたネットワーク技術者の力と VMware の既存のテクノロジーとを組み合わせることによって、VMware がサーバやデータセンターのさまざまな分野で築いてきた実績を、ネットワークの分野へと拡大できると確信しています。Nicira 社の人材、情熱、エコシステム、業界を変革させるビジネスとしての可能性を見ると、サーバの仮想化に取り組んでいた初期のころの VMware を思い出します。  

ここで改めて VMware のより大きなビジョンと製品の提供という視点から、この買収の意味を確認していきましょう。

Software-Defined Datacenter の提供

最近のブログ(英語)で、クラウド コンピューティングの基盤となる Software-Defined Datacenter という概念について説明しています。クラウド コンピューティングは、俊敏性、柔軟性、効率性、および信頼性に優れたサービスを主眼においています。このためには、ハードウェア リソースの抽象化、リソースのプール化によるキャパシティの統合、アプリケーションの要求に基づいた安全で効率的なリソースの自動割り当てを実現する、インテリジェントなソフトウェアが必要です。

Software-Defined Datacenter を利用しているテナントまたはお客様は、データセンター サービスを構成するために必要なリソース(コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、およびセキュリティ)から成る、他のテナントの環境から分離された独自の仮想データセンターを持つことができます。さらに、この仮想データセンターを柔軟に拡張および縮小して、物理リソースの利用を効率化することが可能です。

そして、Software-Defined Datacenter で最も重要なメリットは、現在のほとんどの IT 環境と比べて、これらのリソースのプロビジョニングの時間が大幅に短縮されるということです。これが Software-Defined Datacenter が、クラウドに適したアーキテクチャである理由です。今回の買収は、VMware の Software-Defined Datacenter 戦略を前進させるものとなります。

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この 14 年間、VMware は、競合他社より優れたサーバ仮想化機能と、vSphere のソフトウェア ベースのストレージ可用性を提供する機能によって、Software-Defined Datacenter の実現を目指してきました。Nicira 社の買収により、VMware の Software-Defined Networking の取り組みは大きく前進することでしょう。現在、当社は VMware vSphere の仮想スイッチ、vCloud Director のネットワーク構築機能、vShield のネットワークおよびセキュリティ サービスを提供しており、VXLAN プロトコルにおいて業界他社と協力しています。今回の買収によって VMware のネットワーク製品のポートフォリオが拡充され、SDN の完全なスイートと、ネットワークを仮想化するための包括的なソリューション (仮想スイッチや仮想レイヤー 3 ~ 7 のサービスを含む) を提供できるようになります。

クラウドにおけるネットワークの課題

ネットワークに対する従来のアプローチでは、クラウド コンピューティングに対応するために大きな負担が強いられます。クラウド環境のネットワークおよびネットワーキング サービスの管理は、複雑で時間がかかります。クラウド内のワークロード用にネットワーク サービスをプロビジョニングおよび構成するために、多くの場合、何千もの VLAN と、それらの VLAN を運用するルールを作成して管理しなければなりません。その結果、仮想マシンのプロビジョニングには 2 分しかかからなくても、関連するネットワークとネットワーク サービスのプロビジョニングに数日または数週間かかってしまうことがあります。また、クラウド コンピューティングは、アプリケーションをデータセンター内 (または複数のデータセンター間) で自由に移動できるところにメリットがあります。しかし、物理ネットワークのトポロジーではワークロードを移動できる範囲がトップ オブ ラック スイッチと少数のサーバの範囲内に制限されてしまいます。業界は、ネットワークをクラウド向けに変革することの必要性とそのビジネスとしての可能性をはっきりと認識しています。クラウド向けに変革することで、俊敏性と効率性に優れたネットワーク運用が可能となります。

Software-Defined Networking の実現

これらの課題に対応するため、Nicira 社のSotware-Defined Network ではネットワークを仮想化し、物理的な実装環境からネットワークの論理的なビューを分離します。サーバ ホストと既存のネットワーク機器との間に抽象化レイヤーを作成することで、これを実現しています。抽象化レイヤーは、特定のネットワーク ハードウェアから仮想ネットワークを切り離し、ネットワーク キャパシティのプールを作成します。これにより、仮想マシンの作成や管理と同様に、何万もの分離された仮想ネットワークをプログラムによってオンデマンドで容易に作成および運用できます。こうして、俊敏性、効率性、柔軟性により優れた堅牢なネットワーク構成が実現し、ビジネスに価値をもたらします。ネットワーク仮想化の詳細については、こちらを参照してください。

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複数のハイパーバイザーとクラウドの活用

お客様は、VMware 製品とそれ以外の製品に加えて物理ハードウェアの通信も管理できる、データセンター全体に対応可能なネットワーク ソリューションを求めています。Nicira 社は Software-Defined Network の先駆者ですが、同時に異種混在のハイパーバイザーおよびクラウド環境のネットワーク仮想化におけるリーダーでもあります。他社製ハイパーバイザーのネットワーキング機能にも Open vSwitch コミュニティを通じて大きく貢献しており、OpenStack の重要なサブシステムである 「Quantum Project」 にも参加しています。

このような VMware 以外のハイパーバイザーとクラウドの支援を今後も続けることができるのか、懐疑的な声が出てくることは想像できます。このブログで明らかにしておきますが、VMware は今後も Nicira 社のオープン性を維持し、OpenStack、CloudStack、その他のクラウド関連コミュニティにさらなる価値と選択肢を提供するべく取り組んでいきます。この考えの基盤には、最近の DynamicOps 社の買収で獲得したオープン性があることにも触れておきたく思います。DynamicOps 社は、異種混在のクラウド自動化ソリューションにおけるリーダーです。またもう 1 つ、SpringSource コミュニティでの経験や、オープンな PaaS (サービスとしてのプラットフォーム) プロジェクトである CloudFoundry を主導した経験も、この考えのベースとなっています。

また、Nicira 社によるネットワーク仮想化では、幅広い NIC、スイッチ、アプライアンス、ネットワーキング API、およびファブリック タイプがサポートされています。お客様が既存のインフラストラクチャを変えることなく新しいネットワーク仮想化機能を獲得できることは、非常に重要です。これは、サーバおよびストレージの幅広いパートナーシップを擁し、さまざまなハードウェア互換性プログラムを提供している VMware が得意とする分野です。VMware は、オープンなアプローチを維持し、パートナー企業にネットワーク テクノロジーや API へのアクセスを引き続き提供するとともに、レガシー システムとの互換性も保証します。これによってパートナー企業は、ハードウェアとソフトウェアの両方で新たな価値を生み出すことができます。このような方針のもとで、当社は Cisco 社などの既存のパートナーや、将来のパートナーと緊密に連携していきます。

VMware がどのようにこれらの各種コミュニティと関わり、サポートしていくのか、さらに画期的な計画を今後お知らせすることができるでしょう。Nicira 社の共同設立者であり CTO の、マーティン・カサド (Martin Casado) 氏のブログもご覧ください。

今後の展望

クラウドを取り巻くネットワークの変化は VMware にとって非常にエキサイティングですが、それは業界全体にも言えることです。クラウド コンピューティングが必要なことは明らかであり、私たちは Software-Defined Datacenter を通じて、それを提供していきます。当社は今回の買収を通じて、ネットワーク仮想化の先駆者である 2 つのチームを統合することができました。これにより、Software-Defined Datacenter の実現を加速させ、企業およびサービス プロバイダにメリットを提供することを目指しています。

※本内容は、2012年7月23日の米国のブログ エントリの抄訳版です